Nintendo Switchの所感

はじめに


その昔、僕はかなりの任天堂信者だったが、中学生の頃からはPCゲームに熱中するようになった。それから今まで家庭用ゲーム機、とりわけ任天堂のゲーム機とは疎遠だったが、唐突に母が新作ゼルダ(ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド)を遊びたがるようになった事をきっかけにNintendo Switchを購入した。本記事はPCゲーマーから見たNintendo Switchの所感である。

筐体


よく知られているように、Switchは据え置きと携帯機を兼用しているゲーム機だ。そのためコントローラーとクレードル等のパーツから本体を脱着する事を前提に作られている。こういうアプローチは僕の中にある任天堂のイメージとは相反するものだったので、発表当初はかなり戸惑った。果たして子供達がコントローラーやクレードルの脱着をスムーズに行えるだろうか…?

勝手に神経質になっているだけかもしれないが、こういう脱着可能なパーツはえてして脆いものだ。子供などが乱雑に脱着を繰り返しても長年運用できる仕組みになっているようには見えない。特に無線コントローラーは逆向きにも装着できてしまう。つまり、逆向きに装着しても正常に使用できるわけではなく、誤って装着すると普通には外せなくなるのだ。

Youtubeなどでは既に外し方のコツを教える動画がアップロードされている。逆向きには装着できない設計にするか、向きに関わらず脱着できるようにするべきだったのではないか。実のところ、Switchは成人向けのゲーム機なのかもしれない。その証拠に、CMやPVなどでも子供より大人の方がずっと目立って出演している。神経質な見方かもしれないが、この脱着機構は子供に扱わせるにはややリスキーに思う。

性能


携帯ゲーム機として見ればSwitchの性能はかなり良い方だ。本製品に搭載されているSoCはnVidia Tegra X1ベースで、細かい説明は省くが(面倒だからググってくれ)PS3相当の性能を持っている。それほどの性能を持ったデバイスを携帯できると考えたらそう悪くはないかもしれない。しかし、据え置きのゲーム機として見るならば厳しい物言いにならざるを得ない。PS3に毛が生えたような性能ではこれから最先端のゲームを移植していく事は難しいだろう。つまり、Switchは独占タイトル頼みになる可能性が極めて高い。もっとも、この手の話はあらゆる媒体で散々言い尽くされているので、敢えてこの場での追及は控えたい。どうせみんな聞き飽きている。

しかし、PCゲーマーとしてはやはり言っておきたい。性能が高くて損をする事は基本的にない。値段さえもはやPS4とそう変わらない。性能や価格を犠牲にするほどの価値がSwitchのコンセプトにあったのだろうか。僕はそう思えない。多くの任天堂ファンが求める伝統的なゲームタイトルは特別なギミックがなくとも十分に面白いからだ。こういう事を言うのは決して「コロコロカービィ」が苦手だったからではない。

ソフトウェア


現在のPS4やXboxの多機能さを考えると、Switchは信じられないほど徹底して割り切られている。ブラウザもなければHuluやNetflixのような動画サービスもない。便利なアプリケーションもない。当然だがDVDやBlu-rayも試聴できない。

この上なく純粋なゲーム機だ。せっかく携帯できるのにゲームしかできない。ゲーム機なのだから当然といえば当然だが、今やその当然は成り立たない時代だ。かつては単なる電話機でしかなかったはずのものは今やPCや携帯ゲーム機を脅かしている。

よく「PS派やXbox派はコアゲーマー、任天堂派はカジュアルゲーマー」というイメージで語られるが、見方によってはむしろ任天堂派の方がコアゲーマーかもしれない。PS4やXboxには「保険」がある。仮にあまりゲームをしなくても、他の機能を使っていればとりえあず損した気分にはならない。かつてPS2はまさしく「ゲームもできるDVDプレイヤー」として幅広い年齢層に売れたのだ。

われわれPCゲーマーでさえ「高性能なPCがあって困る事はない」などと自分に言い訳しながらグラボを買っている。しかし、Switchにはそういった「保険」がない。ゲームで満足できなければ何の役にも立たない。この製品を買うには相当な勇気が必要だ。任天堂のゲームを心底愛していなければとても買う気にはならない。その熱量は明らかにコアゲーマーと呼ぶに相応しい。

総括


結局、任天堂が独占タイトルを他社に開放する気がない以上、それをプレイしたければ彼らのゲーム機を購入するしかない。僕は今でもゲームキューブの後継機を待ち望んでいるが、今回はSwitchだった。いかに性能や機能に乏しく、余計な付加価値のせいで割高になっていようと、買わない事にはプレイできないのだ。僕にとって新作ゼルダの価格は実質的に3万6960円(税抜き)である。

裏を返せば、それほどの価値があるゲームタイトルを多数抱えておきながら、なぜその表現力を最大限まで昇華しようとしないのか不思議で仕方がない。新作ゼルダは確かに素晴らしい出来だが、フレームレートがかなり低い。PS4ほどの性能があれば常時60fpsで動作させる事は容易だったはずだ。常時30fpsでよければもっと優れたグラフィックを提供できただろう。つまるところSwitchとはWii Uもそうであったように独占タイトルやギミックを利用したパーティゲームを遊ぶための必要悪と言わざるを得ない。