その男は刃物で性交する

昔、強姦を犯した性犯罪者に去勢を施す国があった。性器がなければ再犯率が下がると考えたのだろう。事実、性犯罪率は下がったかのように見えた。ところが人間の狂気は一物を削ぎ落としたくらいで容易に萎むものではない。

ある男は数多の強姦を繰り返してきたが、去勢を契機にまったく別の性癖が開花した。刃物である。挿入を通じて得られぬ快感を刃物によって代替しようとしたのだ。彼にはもはや男根は必要ない。刃物が彼の永遠の男根となった。

2004年、小学3年生の女児が男に刺殺される事件が起きた。それから14年の年月を経て犯人が衆目に晒されるに至る。その高く積み上げられた犯歴は市民を大いに震撼させた。まるで創作物から抜け出してきたかのような猟奇を内心に湛えていたからだ。… 続きを読む

ゼロを下回る生

異なる方向から見ても文字や単語として認識できるデザインをアンビグラムと言う。どう見ても一つの言葉にしか見えないはずが、逆さにすると正反対の意味のものに変化しうる。物事の多面性を視覚的に説いているようでたいへん面白い。

昨日、Eテレで「ゲーム障害」についてのドキュメンタリー番組が放送されていた。なんでも近年はゲームにのめりこみすぎて生活に支障をきたしている人たちを、一種の疾病患者として捉える向きが医療機関の間で拡大しているらしい。

これはゲームが脳機能の低下を引き起こすと主張する「ゲーム脳」の概念とは大きく異なり、あくまで「ゲーム廃人」を比較的穏当な形に言い換えたものだと思われる。実際、前者に根拠らしい根拠は見られないが、後者は特に珍しくはない。… 続きを読む

やすりで窓を拭くな

芸術家と呼ばれている人たちの逸脱は大目に見られやすい。違法薬物の助けを借りて作曲を試みる音楽家は決して珍しくなく、過去には軍隊を扇動して革命を起こそうとする作家もいた。法的な免責までもは得られないが、少なくとも世論や雰囲気の中においてならそれを勝ち得ていると言える。

これは逸脱そのものが彼らの芸術性に寄与しているとの認識によるものだ。ゆえに彼らの犯罪行為や奇特な言動が必ずしも名声を汚すとは限らず、むしろ精神の昇華に繋がりうると考える向きから賛意を寄せられる事さえもある。

事実、まったく話を聞いてもらえず嘲笑されながら自害する最期を晒しても、なお「金閣寺」の気迫や繊細さは微塵も色褪せなかった。表現や芸術は本人の思想や精神から出力されるものだけれども、それ自体への評価は独立しているのだ。… 続きを読む

涙は流れないし警官もいない

ここ数日「小説家になろう」や「カクヨム」でランキング順にWeb小説を読んでいる。物書きの端くれとしてこの手のジャンルに思うところはもちろんたくさんあるが、結構な数が書籍化されているのも事実だ。学べるところもあるかもしれない。

ランキングのリストを眺めていくと非常に似通った設定の作品が多い事に気づく。いわゆる異世界ファンタジーだ。おおむね時代背景は中世からルネサンス時代で、ドラゴンクエストやその他のファンタジーRPGに類似した世界観を有している。

このベースに現実世界から転生する主人公や、ビデオゲーム的なギミック、ロールプレイングの強制…などの味付けと、何人もの可愛い女の子やどんな敵でも軽々と倒せる技能といったトッピングが加わり、最終的に一作のWeb小説が出来上がる。… 続きを読む

被嗜虐的な食べ物

僕はホルモンをよく好んで食べる。焼き肉屋に行っても肉はほとんど食べない。予め選べるのならそもそも焼き肉屋ではなくホルモン屋と銘打っている店に行く。ハツやミノの引き締まった肉質と豊穣な味わいに比べたらロースはどこか物足りない。

昔はどんなホルモンもしこたま濃いタレで食べていたと言う。おそらく清掃技術がまだ発達していなかったため、今よりもずっと臭みが残っていたのだろう。幸いにも現代は大抵の店に塩がある。ない店は知らん。

新宿の専門店などに顔を出せば一般的なホルモンに慣れた人でさえ敬遠するような珍しい部位を賞味する事ができる。メニュー表にもそのものズバリで「オッパイ」とか「膣」とか書かれている。もはや食欲どころではなく下心をも満たす勢いだ。ちなみに味はそれほどでもない。… 続きを読む