VはVirtualのV

日本時間の今日、Battlefieldシリーズの最新作「BattlefieldⅤ」が発表された。発売は2018年10月19日。

今作は本シリーズの中では珍しくローマ数字を用いてナンバリングされている事から何らかの単語の頭文字だと予想されていた。多くのファンはベトナム戦争のVだと予測していたが実際には第二次世界大戦が舞台だったので的が外れた格好になる。

トレイラーではこれまでのフォトリアルな造形とは異なり、若干デフォルメの色が濃いモデリングのキャラクター達が躍動感たっぷりに動いて敵兵と戦う様子が描かれている。グラフィックの色彩も全体的に強めで前作よりも明るい印象を持った。

注目すべきは義手の女性兵士が後方支援でも医療従事者でもなく最前線の兵士として共に戦っているシーンだろう。フランス語なまりの英語で話しているところを見ると彼女は自由フランス軍かレジスタンスの兵士なのかもしれない。

混迷を極めるヨーロッパ戦線では慢性的に兵力不足が続いており、いざとなれば女性や障碍者でさえも前線に立つ事があったと言う。当時、確かに女性兵士は珍しかったが決していなかったわけではない。自由フランス軍の軍人もフランス軍とはいうものの、実は大半が外国人で占められていた。

このように史実としては特におかしくないのだが、それでもこれまでよりもかなりカジュアル志向に傾いているせいで些か軽々しい絵面に見えてしまうところは正直否めない。トレイラーの後半でアクロバティックに次々と敵を倒していく様子などはCall of Dutyシリーズを彷彿させる。

色彩や造形の具合から推察すると、明らかに企画段階からカジュアル性を強調して作り込んだものと考えられる。これまでBattlefieldのナンバリングシリーズが重視してきた泥臭さから脱却して、昨今のバトルロイヤルゲームに見られるような爽やかで軽やかな雰囲気を演出したかったのかもしれない。

それはより大多数のカジュアルゲーマーにとっては好都合でも、旧来のBattlefieldシリーズのファンからすれば心底がっかりな話だろう。かくいう僕もどちらかと言えばあまり関心はしなかった。その場の流行に乗じる事が必ずしも利益に繋がるとは限らない。

むしろ長年続けてきたシリーズだからこそファンの期待や信頼を裏切らない一貫したテーマ性が求められるはずだ。この考え方は気軽に外伝やリメイクを連発する近年ではもはや保守的なのかもしれないが、ゲームに物語性を感じていたい者からするとなかなか割り切れないものがある。

もちろんトレイラーだけで本作を評価する事はできないが、少なくとも現時点ではマス層を意識したとてもゲームらしいゲームに見える。現実的な重苦しさを再現するよりも仮想体験としての快さが優先されたのだ。即ち、VはVirtualのVである。

余談

RedditやYoutubeのコメント欄などで女性兵士が目立っている様子を槍玉に挙げて批判している人達が多く見られる。中にはVはVaginaのVといった女性蔑視的な発言も少なくない。

おそらく彼らも期待を裏切られた事に腹を立てていて、カジュアル化した責任をポリティカル・コレクトネスや女性のゲーマーなどに求めているのだろうが、それはお門違いな八つ当たりにほかならない。

前述したとおり史実でも女性兵士は存在している。ゲームの出来とそれには何の関係もない。以前からゲーマー界隈は性差別的な傾向を帯びていると感じていたが、できればこれは僕の偏見だと思いたい。