被嗜虐的な食べ物

僕はホルモンをよく好んで食べる。焼き肉屋に行っても肉はほとんど食べない。予め選べるのならそもそも焼き肉屋ではなくホルモン屋と銘打っている店に行く。ハツやミノの引き締まった肉質と豊穣な味わいに比べたらロースはどこか物足りない。

昔はどんなホルモンもしこたま濃いタレで食べていたと言う。おそらく清掃技術がまだ発達していなかったため、今よりもずっと臭みが残っていたのだろう。幸いにも現代は大抵の店に塩がある。ない店は知らん。

新宿の専門店などに顔を出せば一般的なホルモンに慣れた人でさえ敬遠するような珍しい部位を賞味する事ができる。メニュー表にもそのものズバリで「オッパイ」とか「膣」とか書かれている。もはや食欲どころではなく下心をも満たす勢いだ。ちなみに味はそれほどでもない。

そんな無類のホルモン好きの僕でも食べられなかった部位はある。金玉だ。聞く所によれば女性に人気らしい。なんとなくその理由が判る気がする。男性にとってあの感触はあまりにも身に覚えがありすぎる。噛もうとすると自分の金玉の方が縮み上がってしまって賞味どころではない。

一方、女性にはまったく関係ないので気軽にもりもりイケる。なんなら普段からしゃぶっている人もいるだろうからな。とはいえ、オッパイや膣の部位が女性に不人気という話は特に聞かないから、本当は男性も案外もりもり金玉を食べているのかもしれない。だとしても僕には無理だった。

ところが、それでも僕にはちょっと変わった好みがある。自分は食べられなくても、女の子が金玉を食べている様子を見るのはかなり好ましく思う。これは比喩で言っているのではなくそのままの意味だ。むしろフェラチオやその派生の類にはまるで興味がない。

重要なのは男性の本能的な部分を司っていると言っても過言ではない金玉が、女の子によって侵襲されているというところにある。それを見ているとあたかも男性性そのものが侵されているようでたいへん気持ちが高揚してくる。

フェラチオなどは体勢や雰囲気の問題もあって、どうしても女性から男性への奉仕に見えてしまってげんなりするが、金玉の喫食は女性が男性を支配しているように感じる。非力に見える女の子であればあるほどそのコントラストが興奮を誘う。

聞けば、数年前に人間の男性器と金玉を喫食するパーティが行われていたらしい。人間の本物ともなれば食べる方にしろ見る方にしろ様々な感情が交錯せずにはいられないだろう。世の中にはこんなトチ狂ったイベントを現実で楽しんでいる人もいるというのに、僕ときたらだいたいの事は妄想で済ませてしまう。狂気に一歩足を踏み出す勇気がほしい。