注目ゲーム四選

E3で次々と期待できそうなゲームが発表されている。ゲーマー界隈ではややこしい話や演出を気だるいものと見る向きも少なくないが、個人的にはそのややこしい話が大好きでたまらない。なんならもっと厄介で呻吟するような話を作ってほしい。難儀であればあるほど深く没入できる。

We Happy Few

本作は半世紀前のイギリスに似た世界観を持ちつつも、特定の技術のみが異様に進化してしまった社会が舞台のFPSゲームだ。徹底した監視体制と恐怖政治が敷かれているその国では「Joy」と呼ばれる合成ドラッグの摂取が奨励されている。

多くの国民が薬漬けの状態なので国家の支配から逃れられず、体制への反抗心や知性をも奪われてしまっているのだ。主人公は政府の目をごまかすために時折ドラッグを摂取しつつも、シラフの時は国外逃亡を実現するべく行動していく。

このあまりにも背徳的な内容にオーストラリア当局は一時発禁の処分を下した。よくこれほど気が狂ったテーマ性を編み出したものだといたく感心する。現実の全体主義国家は生産性低下を嫌ってドラッグを執拗に取り締まろうとするものだが、本作ではむしろ管理や抑圧の手段として積極的に用いられている。

いびつな科学技術の進歩がかのように鄙陋な体制を生みうるとしたら興味深い。科学や学問へのむやみな信頼は時として権力につけこまれる恐れがある。「We Happy Few」は間違いなく今年で一番ややこしくて厄介で難儀なゲームに違いない。

Ghost of Tsushima

「Ghost of Tsushima」には本来であれば看過できない矛盾がある。このゲームは鎌倉時代に勃発した元寇との戦いを扱っているはずなのに、キャラクターの服装や墓石などのオブジェクトには江戸時代のものが採用されているのだ。

もし日本の歴史に詳しい人が本作を知れば辛辣は批判は避けられないように思う。しかし、実際のゲームプレイ動画を観たらそんな事はもはやどうでもよくなった。歴史家でない僕にとってはこれこそがフォトリアルな鎌倉時代の日本である。思わずそう納得させられてしまう。

なぜ日本のメーカーはあまり写実的な映像美を追求しないのだろうか。たとえ時代考証に忠実だとしてもキャラクターがアニメ風だったり、非現実的な能力を持っていたら到底没入できない。個人的には日本人のキャラクターが英語で喋っている方がよほど受け入れられる。

このあたりは個人の嗜好に依るところが大きいと思うが、日本のサブカルチャーはもっと日本人の顔を忠実に再現するよう意識してもよいと思う。自分たちとあからさまにかけ離れたアニメ顔やホスト顔を和ゲーで見るのはもう飽きてしまった。

Cyberpunk 2077

みんな大好きサイバーパンクの世界を「The Witcher 3」を制作したCD PROJECT REDが作り上げてくれた。馬鹿みたいに光源を放つ高層ビルの間を這い回り、身体に悪そうな合成食品を食べながら機械の右腕で敵を殴り殺そう。もちろんその時は酸性雨も降っている。

サイバーパンクというジャンルでは技術の発達が人間の精神的成長になんら結びつかなかった悪夢の未来を垣間見れる。身体を機械化したり脳味噌を電子情報に変換できる時代になっても、相変わらず人々の権利や福祉は蔑ろにされ続けるようだ。

もしかするとそこは社会科学や人文科学がほとんど研究されなかった世界なのかもしれない。即物的な分野のみに予算や支持が集められた結果、極度に発達のバランスを欠いた社会が生まれてしまったと考えると面白い。この事を教訓に文系学問にもしっかりと科研費を割り振ってほしいものだ。

Resident Evil 2

「BIOHAZARD 7」でホラーへの原点回帰をもたらしてくれたチームが今度はフルリメイクに挑む。ひるんだ相手をひたすら蹴り倒していくお気楽コンバットアクションはもうたくさんだ。不穏なBGMが流れるフィールドを限られた物資で怯えながら探検していきたい。本作はそんな被虐的な欲望を叶えてくれそうに思える。

完全なTPSになっても石像を動かしてスイッチを押したり、クランクをはめて回したり、宝石を探して埋めたりする作業はきっと健在に違いない。ゲーム機の処理能力が向上したおかげで敵が窓ガラスを突き破ってくる時の表現力も格段に向上している事だろう。

ストーリーは既に承知済みなので特段に言うところはないが、これほど演出が進化していれば実際の体験は別物に感じられるはずだ。格闘技が一切使えないレオンを最新の環境で操作できるだけでも大いに価値がある。彼に敵を蹴らせた事が全ての過ちの始まりだった。

CAPCOMはこの路線を堅持するべきだ。もう二度とキャラクターに格闘技を使わせないでくれ。

おわりに

このほかにも気になっているタイトルが幾つかあったが、今回はその中でも特に関心を持つ作品に絞り込んだ。しばらくゲーム市場から目が離せない。