涙は流れないし警官もいない

ここ数日「小説家になろう」や「カクヨム」でランキング順にWeb小説を読んでいる。物書きの端くれとしてこの手のジャンルに思うところはもちろんたくさんあるが、結構な数が書籍化されているのも事実だ。学べるところもあるかもしれない。

ランキングのリストを眺めていくと非常に似通った設定の作品が多い事に気づく。いわゆる異世界ファンタジーだ。おおむね時代背景は中世からルネサンス時代で、ドラゴンクエストやその他のファンタジーRPGに類似した世界観を有している。

このベースに現実世界から転生する主人公や、ビデオゲーム的なギミック、ロールプレイングの強制…などの味付けと、何人もの可愛い女の子やどんな敵でも軽々と倒せる技能といったトッピングが加わり、最終的に一作のWeb小説が出来上がる。… 続きを読む

日大タックルから和の精神が迸る

古来から日本には数々の伝統芸能が受け継がれてきたが、その中でも日大タックル問題はとりわけ和の精神が色濃く表れていると言える。この件が多くの耳目を集めている理由は単に危険なタックルをしたからではない。

最初の報道を聞いた時は、危険というもののアメフトとはそういう側面もある競技ではないか、などと恥ずかしながらも的外れな感想を持った。しかし、実際に映像を観てすぐに意見が変わった。そのさまはスポーツの枠を軽々と飛び越えてもはや暴力の域であった。

加害者の選手はそれを複数回も繰り返した末に退場させられたのだが、仮に監督がこの事に問題意識を持っていたのであれば初回の時点で彼に注意を与えていなければおかしい。当然、問題の本質は選手個人の行動ではなく監督の指導力不足にあったのではないかという話に移る。… 続きを読む

映画「万引き家族」が叩かれている

一見、反道徳的に見えるものの中に本質的な良心や善性が宿る事がある。第71回カンヌ国際映画祭で是枝裕和監督の映画「万引き家族」が最高賞を受賞した。日本人の受賞者は21年ぶりで、これまでわずか3人しかいなかったそうだ。

もっぱらエンターテイメント寄りの作品ばかり観る僕には疎いジャンルだが、確かにこの映画のあらすじにはかなりの興味を惹かれた。なんでも既に死んだ親の年金の不正受給と万引きを糧に生活する家族の話らしい。

家族は作中で迷子の子供を拾って育てようとするも、それがきっかけで様々な問題が表面化していく。つまり登場人物は無垢な善人でもなければ徹底した悪人でもなく、英雄でもなければ清貧でもない。… 続きを読む