2025/05/31
妖精族とのファーストコンタクト
ある日、すし詰めの電車から吐き出されて帰宅すると、そこには妖精がいた。なにを馬鹿な、と思ったが事実として目の前にいる少女は妖精としか言い表しようがなかった。人形に似た華奢な身体と、ささやかに揺れ動く透き通った羽根を持つ彼女に他に適した形容は見当たらない。じきに目が合うと少女は腰掛けていたベッドからぴょんと飛び立って宙に浮き、僕と同じ目線の高さに立った。
「わあ、やっと私が見えたんだ! どうもはじめまして、人間さん」
「どうも、はじめまして……?」
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