点と接線

フルマネージド・ラーメン

0 勤務を開始するとまずは店舗で朝ごはんを食べる。これは製品の品質を評価するための業務であり、労働時間に含まれている。管理部門の業務は多岐にわたる。〇一七・〇五〇・一三一と名付けられたその製品はかつて『豚骨醤油ラーメン』と呼ばれていた。ロボットアームが調理を終えると目の前の扉が上に開き、ラーメンが箸とれんげと一緒に供される。器の色は白かったり黒かったり、まったく別の色だったりすることもあるが、材質はきまって陶器製だ。度重なるA/Bテストの結果、少なくともこの点については変更の余地がないと確証が得られた。顧客満足度は味のみでは決まらない。 箸を手に取る前に盛り付けを確認する。丼ぶりの奥に三枚の海苔、中央左寄りにチャーシューが一枚、右寄りにほうれん草。麺はスープに沈みきらないように若干浮いて存在感を示している。この配置も膨大なフィードバックをもとに入念に設計されている。しかし私個人の感想としては、チャーシューとほうれん草の位置は逆の方が好ましい。いや、位置はどちらも中央でほうれん草を手前に置く方がいい。いや、むしろ……。 うーん、すぐに結論は出せそうにない。次の評価に移ろう。 器を持ち上げ、湯気とともに放出される匂いをかぐ。と同時に、スープの色味も間近で確かめる。豊かな獣臭と醤油の香りが鼻腔をくすぐる。

ゴリラに無線イヤホンは向いていない

盛夏、賞与のおかげで僕の懐はだいぶ暖かかった。こういう時にはうっかり散財するのも悪くない。服や靴はいつでも買っているが、懐が温い時にしか検討しない代物もある。さしずめオーディオ製品などはそうだ。約10年前、据え置き用のシステムを一通り揃えてエンドゲームを迎えて以来、この領域は手つかずになっていた。 厳密には、数年前に1万円ちょっとを出して無線イヤホンを購入している。音はまずまずで悪くない。出社日の電車内でSpotifyのDiscover Weeklyを回して曲探しをするのが目的だった。そして現在、SpotifyはCD音質相当のロスレス再生に対応し、無線イヤホンのバッテリーは如実に持ちが悪くなった。いよいよ買い替え時がきたのだ。

弊サイトをリニューアルした

数日前にアクセスした人は気づいていると思われるが、このたび弊サイトをリニューアルした。もともとミニマル志向だった外観にさらに磨きをかけ、タイポグラフィを強調したより整合的なデザイン体系に誂えた。LLMに頼めばどんなに瀟洒で豪華絢爛なWebサイトも小一時間で出来上がる時代に、あえてこのような意匠を整えたのには明確な理由がある。 それはそもそも、世の中には見てくればかりでコンテンツに乏しいWebサイトが多すぎるということだ。なにも別に上等なコンテンツがなければいけないわけではない。その主宰者ないしは組織の内実を表しめるものがあれば、読み手は十分に楽しめる。にもかかわらず、流行りのフレームワークを使っただけの片手で数えるほどしか記事がないプログラマのブログや、制作会社に丸投げしただけの上っ面だけ大層に動くコーポレートサイトが多すぎる。

自作ActivityPub実装に絵文字リアクションを部分的に足した

ActivityPub実装を自作 して一年が経った。当時はなるべくミニマルな仕様にしたかったのと、このような 気持ちもあって躊躇していたが、部分的に足すぶんには共存できると思い直して実装に至った。 僕が抱いている問題意識の根本は、そもそも絵文字リアクションが暗黙的に担っている役割が大きすぎるというものだった。あれほど多彩な種類があるとコミュニケーションの多くをミームで代替できる気がしてしまう。しかしそれは錯覚であって、実際に代替しているのはコミュニケーションではなく、まさしく〈リアクション〉に過ぎないのだ。