かのイーロン・マスクが「Xは対戦型SNSだ」と表明して以来、この発言は様々な形で受け取られてきた。和やかにお喋りしたり好きなものを共有する場ではなく、激しく意見を戦わせる場に変わったのだと悟って去る者、逆に〝お墨付き〟が出たと喜び勇んでレスバに拍車をかける者、単にSNS中毒で賛成反対以前に離れるすべがない者など、多くの立場がある。今回は主に二番目の立場を糾弾していきたい。そもそも「対戦」とはいかなる代物だろうか? 原文では「PvP」と表現しているので、正確にはオンラインゲーム的な文脈が強いと思われる。CPUが相手ではなく人間のプレイヤー同士で戦うジャンルのことだ。大抵の場合はラウンド制など固有のルールがあり、勝負の過程は検証可能で結果はゲームシステムが決定する。
今年の夏は寒かった。いつもだいたい雨が降っていた気がする。窓の向こうで蝉の音が高らかに風物詩を主張する矢先、前触れのない驟雨が夏景色を根こそぎ洗い流してしまったかのようだ。忙しない出勤の間際、身体にまとわりつく汗と湿り気だけが日常に感じる季節の姿だった。夏を終わらせたくなると僕は海に行く。誰も誘わず、誰にも言わずしめやかに行く。これは夏を個人の認識の上で看取る行為であり、決して華やかなイベントではない。行く日は八月の末日かその前日が多い。お盆を過ぎると夏が処される旧来の区分は廃れて久しく、昨今の夏は依然猛威を振るっている。気持ちの整理をつけつつ、ラストサマーを飾るのに最適である。
以前の記事 でNotoフォントを自前で配信している話をしたが、今回はさらに一歩進めて異種フォントの採用に踏み込んだ。というのも、Notoフォントは実用性が高く基本的な用途においては不満がない代物であるものの、個人的な好みも考慮するといささか物足りなさが否めなかったからだ。とりわけ明朝体は文字の装飾感が強いだけに侮れない差異が現れる。かくいう僕もKindle Paperwhiteに搭載されている標準フォントでは満足できず、わざわざBIZ UDPMinchoを導入しているくらいだ。当然、弊サイトの本文部分に採用するのもこのフォントとなる。
0勤務を開始するとまずは店舗で朝ごはんを食べる。これは製品の品質を評価するための業務であり、労働時間に含まれている。管理部門の業務は多岐にわたる。〇一七・〇五〇・一三一と名付けられたその製品はかつて『豚骨醤油ラーメン』と呼ばれていた。ロボットアームが調理を終えると目の前の扉が上に開き、ラーメンが箸とれんげと一緒に供される。器の色は白かったり黒かったり、まったく別の色だったりすることもあるが、材質はきまって陶器製だ。度重なるA/Bテストの結果、少なくともこの点については変更の余地がないと確証が得られた。顧客満足度は味のみでは決まらない。箸を手に取る前に盛り付けを確認する。丼ぶりの奥に三枚の海苔、中央左寄りにチャーシューが一枚、右寄りにほうれん草。麺はスープに沈みきらないように若干浮いて存在感を示している。この配置も膨大なフィードバックをもとに入念に設計されている。しかし私個人の感想としては、チャーシューとほうれん草の位置は逆の方が好ましい。いや、位置はどちらも中央でほうれん草を手前に置く方がいい。いや、むしろ……。うーん、すぐに結論は出せそうにない。次の評価に移ろう。器を持ち上げ、湯気とともに放出される匂いをかぐ。と同時に、スープの色味も間近で確かめる。豊かな獣臭と醤油の香りが鼻腔をくすぐる。