2025/08/06

腕環境改善Ⅱ

先週、前触れなくスマートウォッチが壊れた。タッチ操作がほとんど反応しなくなり、ものすごい勢いでバッテリーが減っていく。初期化しても治らない。挙動をつぶさに観察したところ、なんらかの理由でタッチパネルが常時ランダム入力状態になっているようだった。いずれにしてももはや使い物にならないのは明らかだ。

そんな折、以前から目をつけていたCMF Watch Proシリーズの新型が登場した。渡りに船とはまさにこのことである。初代CMF Watch Proがリリースされた当時、他にはない洗練されたUIや手頃な価格が話題を呼び、僕もかなり真剣に購入を検討した覚えがある。

しかしレビューがあらかた出揃い、フィットネス機能の不足、未熟な操作体系、既製品の筐体を流用している点が露呈すると、あくまで試作品並みの代物との認識が優勢となった。結果、僕は初代CMF Watch Proを見送りAmazfit Activeを購入した。この時からもう1年半以上も経っていたのだ。

都合2回の代替わりを経たCMF Watch 3 Proは相応にちゃんとしているように見える。GPSがデュアルバンドになり、ディスプレイも60Hz有機EL、筐体も流用ではなくオリジナリティのある円形に変更された。機能の充実具合はXiaomi Smart Band 9 Proと同等程度と思われる。価格は1万3800円。

Smart Band 9 Proは1万円足らずで買えるためNothingのデザインに4000円ちょっとを追加で支払う格好となる。悪くない。なにより僕のスマートウォッチは壊れている。今すぐ注文しなければ1時間のランニングを勘で走る羽目になる。結局、届いたのは3日後だったので何回か勘で走らされたが、まあそれは良しとしよう。

さて、実際に付けてみるとケースサイズが想定以上に大きく見えてやや面食らった。僕が選んだホワイトモデルは縁が隆起しているので尚更そう感じるのかもしれない。筐体は金属でできているが間近ではさほどの高級感は期待できない。良くも悪くも1万円程度の質感と捉えた方がよい。

一方、Nothingシリーズ譲りのUIは本当によくできている。ドット調のアイコンが世界観にうまく溶け込んでいる。ディスプレイが消えているうちは価格相応でも、点灯している間は3倍くらいのクオリティに見える。おそらくはこれこそがCMFブランドの狙いであり、ソフトウェアデザインとブランディング力で他を補う製品設計を意図しているのだろう。

連携アプリであるNothing Xのまとまり感も良い。Garminなどのスポーツウォッチに慣れている人からすると物足りなさそうだが、カジュアルにランニングをしている程度であればこれぐらいで事足りる。使いもしない機能やサブスク前提の上位機能が画面上に鎮座しているよりはかえって好ましい。

心拍数や血中酸素濃度、ストレス値は望めばリアルタイムで常時測定できる。僕は心拍数のみを有効にしている。8月1日に満充電してから6日の今日でバッテリー残量が30%なのでこの設定だとざっくり10日前後は持つ。Wear OSではないスマートウォッチとしてはまずまず普通の電池持ちと言える。

スマートフォンとの接続性や通知も今のところ良好だ。前モデルのCMF Watch Pro 2ではこの辺りに問題を抱えていたらしいが新型では修正されたようだ。以上、総評としては特に目新しい機能はないものの、とにかくルックスが良いうまくまとまったスマートウォッチだと感じた。

たぶん開発側も長く使わせ続けるつもりはないのだろう。あえてCMFブランド(Nothingのサブブランド)で毎年リリースしていることから、気軽に使い倒してもらってあわよくば他の同社製品に手を出してもらうのが狙いのはずだ。価格帯が1万円台のままなら毎年新しいモデルに買い替えても大した負担にはならない。

とはいえ、個人的にはせっかく肌身に着けるなら筐体の品質にもこだわった上位モデル(Nothing Watchといった感じの名称になるのかもしれない)があってもよいと思った。機能はほどほどでも格好良いスマートウォッチが欲しいという需要は確実に存在する。当面はこれで間に合わせるとして今後の製品展開に期待しておこう。

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