2022/11/08

4K HDRのPCディスプレイでプライムビデオその他を観る

アイアム映画マン見習い。普段は居間の55インチブラビアで映画を観ているが、集合住宅特有の事情ゆえ深夜はスピーカーを存分に鳴らすことができない。夜中にどうしても映画が観たくなった時はPCで視聴している。今までせっせとヘッドフォンオーディオに投資してきた甲斐あってか、意外に体験は悪くない。作品によってはむしろ良い。視聴距離の近さも相まって、なんというか、いつもより映画をねちっこく鑑賞できている感じがする。これはこれで一つの様式に昇華させられそうだと合点を得た。

そこへいくとやはりなんとかしたいのはPCディスプレイの性能である。僕のPCディスプレイはもともとFPSゲーム用に購入したもので、リフレッシュレートと応答速度に優れる代わりに発色がすこぶる悪い。いわゆるTNパネルというやつだ。当然、解像度も1920*1080のフルHDに留まる。居間のブラビアとあえて比べるまでもない。

となれば、新たに4Kディスプレイの購入が検討されるのは至極自然な話だと思われる。仕事や他の趣味においても高解像度でフォントを眺められるようになるのは良いことに違いない。今まで購入しなかったのはFPSのために高リフレッシュレートを惜しんでいたからだが、もうゲームもそこまで真剣にやる気はない。ついに時は満ちた……。

……本来、話はここで終わるはずだった。 どの4Kディスプレイなら僕の需要を満たすのかはもう分かっている。DCI-P3を90%以上カバーしていてDisplay HDR400を取得しているUSB type-C給電対応の4Kディスプレイであればいい。たとえばDELLのU2720Qなんかはちょうど良さそうだ。ところが、そうは問屋を卸さないのが映画業界の都合だったり、デジタル著作権管理(DRM)だったり、ストリーミングサービス各社の怠慢だったりする。

Webブラウザではプライムビデオその他を4K HDRで観られない

実を言うとこの問題は以前から知っていた。画質制限はNetflixが日本に初上陸した時点ですでに露見していた仕様だったからだ。ではどうするのかというと、僕はWindows Storeで手に入る専用アプリを使っていた。これならNetflixは4K HDRで観られる。そう、彼はまだ話が分かるやつだ。

一方、プライムビデオやDisney+は専用アプリをもってしても4K画質を提供しない。Apple TV+はアプリ自体がない。 メイン環境がLinuxの僕でもたまにはWindowsをブートしてやってもいいと考えていたのに、こいつはずいぶんひどい仕打ちじゃないか。5年前なら1080pで観られればまあ十分か、と納得できても2022年の今は4Kコンテンツがだいぶ増えている。Disney+やApple TV+に至っては4K画質じゃないコンテンツの方がかえって悪目立ちするほどだ。

つまり、PCはもはや映画を観る上では不完全な環境に落ちぶれてしまっている。ストリーミングサービス各社が提供する最高画質を確保したければ、Fire TV StickなどのSTBを経由しなければいけない。本エントリが「PCでプライムビデオその他を観る」ではなくPCディスプレイで、と題されているのはそのためなのだ。

このような不細工な仕様になっている理由は先に挙げた通り色々と考えられるが、いずれにせよ状況がいきなり改善される見込みはほとんどないだろう。マルチメディア機器としてのPCがその主役の座を降ろされたのは昨日今日の話ではない。したがって、本問題の解決手法はSTBの利用を前提とする方向に進んでいく。

映像分配器の悪い意味での奥深さ

STBはFire TV Stick 4K Maxを購入する。値段が安い以外の理由はない。居間のブラビアにはApple TV 4Kを繋げているとはいえ、わざわざ高いSTBを買い足すなんてコスパの悪い真似は避けたい。なにしろ、Fire TVの方はメルカリで新品未使用品が3000円かそこらでゴロゴロ転がっている。もっと考慮すべき問題は他にある。

冒頭で言ったように僕がこのやり方にこだわるのは上等なヘッドフォンオーディオを利用したいがためだ。しかしFire TV Stick 4K Maxにも他のSTBにも、手持ちのDACと接続可能な端子(光デジタル)は搭載されていない。プライムビデオその他が4K HDR配信をブラウザ上で提供していたらこんな問題は発生しなかったが、現状そうなっていないのだからFire TVとDACを接続する方法を考える必要がある。

結論を言えば映像分配器またはオーディオ分離器と呼ばれる機材を用いる。Fire TVをディスプレイのHDMI端子に直接挿さず、分配器に接続して音声部分を光デジタル、映像部分をHDMIに文字通り分配するのだ。……とはいうものの、この分配器というやつはなかなか奥が深いジャンルで目当ての製品を見つけるのにずいぶん苦労した。

まずハードウェア性能的に4K HDRに対応していなければ話にならないし、フレームレートもきっちり60fps出てくれないと困る。ストリーミングサービスを利用する都合上、著作権保護機能のHDCPにも確実に適合してほしい。さらに単に適合するだけではなく、バージョン2.2以上でなければどのみち4K HDRの映像は映せないというのだから厄介そのものだ。

特に複雑怪奇さを極めたのがセレクタ機能だった。こいつがあるとPCの画面とFire TVをリモコンで切り替えられて便利なのだが、代わりにPC側の映像端子も分配器に繋げなければいけないので入力端子が2つ要ることになる。そうなると分配器の値段はぐわっと高くなり、逆に製造品質はがらっと悪くなる。どうやらセレクタ機能の設計はなかなか難しいらしい。

一応、Amazonの中をくまなく探してこれとかこれのような基準を満たす製品を見つけはしたが、レビューを読むとどうも購入を躊躇してしまう。せっかく上等なヘッドフォンオーディオを扱うのに、粗悪な機材が間に挟まるというのはけっこうな不安材料だ。言うまでもなく、信頼の置けそうな国内メーカーの製品はやはり高い。しかもやたらとデカい。こんなに沢山の端子はいらない。

結局、セレクタ機能は諦めて映像の切り替えはディスプレイ側に任せることにした。物理スイッチを何回か余分に押す手間がかかるが、これなら単純な仕組みの分配器で事が済む上に国内メーカーの製品にも手が届く。(これとか良さそうだ。)目的を勘案すると音質を犠牲にしそうな選択肢だけは採れない。よって、最終的な構成案は下記の形となった。

最終構成案

PC — 4Kディスプレイ – 分配器 – Fire TV
|             |
|—————— DAC ———|
       |
      アンプ
       |
     ヘッドフォン
       |
     ₍₍ (ง ˘ω˘ )ว ⁾⁾

すんげー雑だけど様子は伝わるはず。こういう感じでやっていきたい。改めて条件を振り返る。

・ストリーミングサービス各社の映像を最高画質(4K HDR)で観るにはSTBが必須。
・AVアンプ以外で上等なオーディオ設備を利用するには光デジタル端子を備えた分配器が必須。
・DRMで保護された映像を4K HDRで観るにはディスプレイ、分配器、HDMIケーブルのすべてがHDCP2.2以上に対応していなければならない。

それにしてもなんでこんな仕様になってしまったんだろうね。そりゃあ誰も彼もスマートフォンやタブレットで間に合わせようとするわけだ。ちょっとでも込み入ったことをしようとすると途端に面倒が増えるんだからな。などと愚痴りつつも、なんだかんだであれこれと買わずにはいられない。アイアム映画マン見習い。

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