2022/12/03

DeskMini X300で超小型静音PCを組んだ

遅れて顔を覗かせた物欲の秋は僕をニューマシンの購入へと駆り立てた。この記事は新しいPCで書いている。以前のPCはGPUこそぼちぼち高性能なモデルを積んでいたが(GTX1070――現行製品のRTX3050と同性能)対してCPUの方はSandy Bridge世代のCore i7 2600Kどまりと時代遅れ感が否めなかった。

俗に言うSandyおじさんというやつだ。リッチなグラフィックのゲームをやらなくなって久しい僕にとっては、もはや無駄にでかくて音がうるさいアンバランスな性能のマシンでしかない。こいつをどうにかしたいと星に願い続けてずいぶん経った。

つまり僕がニューマシンに求める仕様とは、グラフィックス性能は最低限でもCPU性能がそこそこ高く、RAMやストレージのリソースも潤沢、かつ超小型で静音――といった具合になる。幸いにもそれを満たす構成案は即座に見つかった。

今時のCPU内蔵グラフィックスは大したもので、Valorantくらいのゲームなら4K解像度でも60fps程度は設定次第で難なく出せてしまう。とりわけRyzen 5 5600Gはちょうど後続のアーキテクチャが発表されたこともあって底値に近い。昨年は35000円以上出さなければ買えなかったCPUが、今やほぼ半額の17000円台で手に入るのだ。

もっとも高価であろうCPUの価格がその辺りで収まってくれると、他のパーツを全部足しても合計金額はたかが知れている。なにより当時はブラックフライデーでもあった。以前のPCとディスプレイを友人に売って得た50000円を頭金にして、あと20000円も足せば1台組んでしまえるではないか……そんな具合に、購入計画はいたって首尾よく進んでいった。以下がそのパーツの内訳である。

CPU:Ryzen 5 5600G

ブラックフライデー価格17979円。冒頭で軽く触れたZen3世代最後の内蔵グラフィックス強化版デスクトップCPU。6コア12スレッド。TDP65W。発売当初は円安と半導体不足が災いしてコスパ最悪の烙印を捺されていたものの、うってかわって現在では最強のコスパを誇ると言っても過言ではない。

そのCPU性能はPassMarkで20000スコア近くとApple M1 Maxに迫る勢いだ。ARMと比べるのは不適切かもしれないが、Mac miniやMac Studioもまた小型PCの代表格に推される製品なのでなんとなく比べたくなる。

ベアボーンキット:ASRock DeskMini X300

ブラックフライデー価格22000円。こいつがPCケースとマザーボードと電源を兼ねる。それらがすべてくっついてくるから後はパーツを載せるだけで組み立てが完了するという按配だ。あまりにも楽に組めてしまったせいで内部の画像を撮るのを忘れてしまったほどだ。

単価はCPUより高いが、本来はそれぞれ個別に買わなければならないことを考えると安い。そのうえ最大辺が155mmと非常に小さく、まさに小型PCとしての要件を満たしている。オプションパーツを組み合わせるとWi-FiやBluetooth機能を付加したり光らせたりもできる。

ストレージ:キオクシア EXCERIA PLUS G2 SSD-CK1.0N3PG2/N

ブラックフライデー価格9880円。容量はデュアルブート環境を見越して1TBのものを選択。本来はこれの下位モデルにする予定だったが意外に安く組めたおかげでグレードアップと相成った。2000円ぐらいしか価格が変わらない割に読み込み速度は3400MB/secと2倍もある。実際に体感できているかどうかは正直よく分からないが、OSがスリープ復帰並みの速度で立ち上がるようになった。PCIeは後方互換性を持つので数年後にPCIe4.0の環境に移行する際もこの性能なら十分使い回せるだろう。

RAM:Team SO-DIMM DDR4 3200MHz 16GB*2

ブラックフライデー価格11880円。PCIeと違って残念ながらDDR SDRAMに後方互換性はない。どのみち買い替えになるならと一番安い製品を選択した。保証内容がしっかりしていれば特にこだわりはない。強いて挙げるとDeskMini X300は超小型ゆえラップトップ用のSO-DIMM規格でなければいけなかった。RAMの容量は今時の開発手法を考慮するとやはり32GBは欲しい。

オプション:USB2.0増設ケーブル

僕はUSB Type-Aポートが少ないPCが嫌いだ。DeskMini X300は標準だと3つしか備わっていない。しかしこのパーツのおかげでUSB2.0のType-Aポートをさらに2つ生やすことができる。マウスとキーボードで2つ、DACで1つ、マイクで1つと最低でも4つ使うので合計5つに増えるのはとても心強い。空いた前面のポートはUSBメモリやジョイパッド用としてありがたく活用させていただこう。

オプション2:Noctua NH-L9a-AM4

CPUクーラー。超静音を実現するためにはここへの投資が必要不可欠だった。5000円以上かかったが言うだけのことはあって真の静寂が保たれる。上の画像を見て分かる通りなにげに高級感もすごい。ある意味でもっとも効果を実感できたパーツかもしれない。冷却性能も通常時で40〜45℃、ゲーム中でも最高で65℃、ベンチマークを回してようやく85℃と小型静音クーラーながらかなりの優等生ぶりだ。

総評

僕がグラフィックス性能を持て余していたというのは気のせいではなかった。実際なにも困っていない。逆にハイエンドNVMe SSDの恩恵やi7 2600K比で3倍以上に高速化したCPUの性能を実感させられる場面の方が多い。例えば、Vimの起動速度がしれっと50ms前後まで改善されたりもした。

繰り返しになるが本当にまったく稼働音もしないし、今のところ良いことしかない。今回の構成はどれも一世代前の組み合わせとはいえ、総額で70000円を切る圧倒的コスパを踏まえると実にすばらしい買い物をしたと思う。

©2011 辻谷陸王 | Fediverse | Keyoxide | RSS | 小説