2024/03/03

皆さん技術書どう読んでる?

小説や漫画は電子でも技術書は紙、という人はかなり多いんじゃないかと思う。アバウトに書き込めるし、付箋を貼り付けられるし、マーカーも引ける。ぺらぺらとめくって雑に読むこともできる。それくらいタブレットでもできると言われても、システム上の制約があるのとないのとじゃ大違いだ。

しかしその一方で、技術書は重い。デカい。よりによって繰り返し世話になるリファレンス的な本ほどページ数も多い。500ページ超えはざらの世界だ。にも拘らず、ひょっとすると一冊では済まないかもしれない。これではもう「ぺらぺらとめくる」などと悠長なことは言っていられない。どう考えたって検索の方が早い。いわゆる書見台の類も、こんなに分厚い本は想定して作られていない場合がほとんどだ。真ん中あたりばかり開くのなら別だけどな。

となれば然らば電子書籍か、と簡単に切り替えられたら苦労はしない。僕はKindle Oasisを持っているが、このサイズで大判の技術書を表示しきるのは難しい。そもそもe-inkディスプレイはページをいったりきたりする用途には適していない。文字通り紙に近い視認性を持つ素晴らしき電子ペーパーも、本をめくる速度ときたらあくびが出るほど遅い。

かといって、技術書を背負って通勤するのはマジで御免蒙りたい。さもなければ、二冊ずつ買って職場と自宅の両方に置くか――それとも、やはり、新たにタブレット端末を買うべきだろうか。一体どうすればいいんだ。ていうか、他の人はどうしているんだ。なあ、皆さん。技術書、どう読んでる?

タブレット端末に投資する選択肢

絵も音楽制作も動画編集もやらない僕にとって、タブレット端末はなにかと身に余る。出先での電子的消費は大抵スマホで間に合っている。小説ならKindle Oasisがある。動画はもっとデカいディスプレイで観る。それら以上に高度な作業なら、仕方がなくラップトップを持っていく。

つまり、僕のデジタルライフにおいてタブレットが収まる隙間はどこにも存在しない。無理に存在させるならラップトップのポジションを空けるしかない。明らかに一番使っていないからだ。実際、Android端末でも近年はXiaomi Pad 6S Proのように、さもラップトップの代わりに使えそうな機能を備えた製品が出てきている。

これまでは使用頻度に関係なくラップトップは必ず一台持っておくもの、との認識でいたが、デスクトップ環境に満足していると本当に全然使わない。ただでさえコロナ禍に見舞われていたせいもあるとはいえ、今時は勉強会やカンファレンスもオンライン参加が可能だったりする。

なにしろ元々「カフェで勉強♪」とかいう柄でもなく、デカいディスプレイに加えて自作キーボードにまで凝りだした現在となっては、ラップトップ環境になどやむにやまれぬ理由がなければ滅多に用事がない。せっかくメイン環境と同じArch Linuxで揃えているのに、特になにをするのでもなくただ物置に押し込んでいる。

一連の経緯を踏まえると、いっそラップトップの座をタブレット端末に譲るのはぼちぼち理に適っていると考えられる。どのみち使用頻度に低いポジションなら技術書を読むのにしか使わなくても上等だろう。幸いにも僕は割と良い性能のVPSを契約しているので、もしどうしても出先で開発がしたくなったらSSHクライアントで接続する手もある。

とりわけこのメソッドの好ましさは任意のキーボードが使えるところだ。ThinkPadのキーボードは数ある中ではずいぶんマシな方だが、それでも納得のいく打ち心地には満たない。そこへいくと、タブレット端末は尊師スタイルと違ってまったく無駄がない。一つのディスプレイに一つのキーボードが自然体で備わっている。

うーむ、アリかもしれない。普段は技術書リーダとして気軽に扱えて、いざという時はLinux環境完備でベターなキーボードが付いた即席ラップトップに変貌する。うわ、マジでアリすぎてモハメド・アリになってきた。もしかしてもうやってる人とか結構いたりする? なんなら出先環境を整備する口実でロープロファイルの上等なキーボードを一台生やしてやってもいい。Lofree Flowとかが最近はアツいらしいな。

とりあえず現状は……

残念ながら今はタブレットを買う時期が悪い。先に挙げたXiaomi Pad 6S Proは発表されたばかりで当面は発売しない。さらに聞いた話では、Xiaomi Pad 7なる10インチタブレットの新製品も夏頃に出るという。ラップトップの代替としての役割を重視するなら最低12インチは欲しいが、リーダとしての携帯性を優先する場合は10インチの方が望ましい。

他方、過剰な投資を避けて控えめにタブレット環境を試すなら現行機種のXiaomi Pad 6も悪くない。11インチはどちらの用途にもギリ対応できそうなサイズ感だ。現時点では5万円前後だが、新機種が出ればきっと値下がりするだろう。どうせゲームはやらないので性能はほどほどで構わない。そういうわけで、現状はこんな感じになった。

出先でどうこうする話は一旦棚上げして、さしあたり自宅の32インチ4Kディスプレイを活用する形にした。Linux環境ではKindle本をまともに閲覧できないため、技術評論社やオライリーなどのPDFで販売している出版社から買っている。このようにして電子化を先に進めておけば、タブレット端末を買ってからも無駄になることはないはずだ。

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