2022/04/23
書評「共生虫」:社会性と暴力性の境界線
村上龍の作品にはインモラルなものが多いが、本作も多分に漏れずそれが存分に迸っている。もっと言えば、なにがしかのテーマに氏特有の暴力性が付属しているのではなく、本作は暴力そのものがテーマなのだ。暴力を通じて初めて自分の人生を得た者、逆に暴力に囚われたがゆえに身を滅ぼす者、暴力と知らずに暴力を用いる者、そんな登場人物らの交叉が黎明期のインターネット空間、不景気の到来が誰の目にも明らかとなった平成初期を
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