2023/05/20
球になりたい
もし身体性から解き放たれた電脳世界に行けるのなら、僕は球になりたい。
女の子でも動物でも怪獣でもなく球になりたい。色は任意のツートーンカラーで、目も耳鼻も口も手足も備えず、地面から2フィートほど浮いて漂っていたい。各々の計算資源によって毎分毎秒維持され続ける美少女の群れの中で僕はただ一個、意味もなくミニマルを気取っている。
環境光さえ計算に入れていないものだから、どこから観察しても僕を彩るツートーンカラーは変色しない。ピンクとオレンジの日に僕と出会った人は、どの角度で対面しても#F8ABA6か#FFA500しか見えない。薄暗いムーディーな空間に移動しても、僕のモデルは決して暗がりに溶け込まず逆に浮き出て映る。普通に雰囲気がぶち壊しになるのでブロックされやすい。
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