2023/05/20

球になりたい

もし身体性から解き放たれた電脳世界に行けるのなら、僕は球になりたい。 女の子でも動物でも怪獣でもなく球になりたい。色は任意のツートーンカラーで、目も耳鼻も口も手足も備えず、地面から2フィートほど浮いて漂っていたい。各々の計算資源によって毎分毎秒維持され続ける美少女の群れの中で僕はただ一個、意味もなくミニマルを気取っている。 環境光さえ計算に入れていないものだから、どこから観察しても僕を彩るツートーンカラーは変色しない。ピンクとオレンジの日に僕と出会った人は、どの角度で対面しても#F8ABA6か#FFA500しか見えない。薄暗いムーディーな空間に移動しても、僕のモデルは決して暗がりに溶け込まず逆に浮き出て映る。普通に雰囲気がぶち壊しになるのでブロックされやすい。 Read more

2021/10/31

n回押すごとに(1/2)^nの確率で1億円もらえるボタン

ただし、当たりを引くまで密室から出られないものとする。 ストーリー説明 君はうだつの上がらない大学生だ。典型的なFラン学生として怠惰な日々を送っている。気づけば既に4年生。なにか新しい技能の習得に精を出すでもなく、若者の青春を謳歌するでもない。そういう手合いには冷ややかな視線を浴びせ、おれはあんな必死こいた連中とは違うんだと硬派を気取ってみる一方、コンビニ店員や現場仕事の作業員は露骨に見下している。 それもこれもすべては親ガチャに失敗したせいだ、と君は愚痴を漏らす。ああ、おれの親がもっと優れていたらなあ! そうしたらおれは今頃、もっとイケメンで、もっと頭が良くて、きっと恋人も友達も向こうから寄ってきて、こんなつまらん人生なんて送ってないだろうになあ! だが、現実は現実であった。 君の親はごく平凡なサラリーマンで、Fラン大学の学費もあくせくしながら支払っている。 Read more

2021/07/07

もぅマヂ無理数。

「このテーマで一本いける」と確信した時は、たいていキャッチーなフレーズが頭に浮かぶ。一通りググってみたが同じ言い回しは見当たらなかった。本エントリでは無理数がマヂ無理になった数である「超越数」 について、自己理解の充足を兼ねた解説を記す。 そもそも無理数とはなにか 実数の世界は有理数と無理数で構成される。有理数にはわれわれが普段から親しんでいる数の大半が含まれる。ざっくばらんに言って、2つの整数を用いて分数で表せる数はすべて有理数、表せない数が無理数となる。 たとえば、整数の1、2、3… はそれぞれ$\frac{1}{1} \frac{2}{1} \frac{3}{1}$…と分数で表せるため有理数となり、0.1、0.2、0.3… のような小数も$\frac{1}{10} \frac{2}{10} \frac{3}{10}$…と変形できることから同様に有理数である。 Read more

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