2023/12/17

巨大質量に引きずられて

Fediverseは静かな星系である。Xという名の、自分自身をも燃やしながら光より速く自転している惑星の騒々しさと比べたら、ここいらの星々はまるで止まっているように見える。長い時間をかけてようやく最初の公転を終える惑星もあれば、自転すらままならず雲散霧消してしまう惑星もそう珍しくはない。 なにしろ中心がないものだからそもそも公転の定義からして怪しい。我々は一体なにを頼りに回っているのか、どこへ行こう Read more

2023/08/14

病気の時にする妄想

かのジェームズ・キャメロン監督は殺人ロボットに追われる悪夢を見て「ターミネーター」を思いついたと言う。巨匠は熱にうなされていても元を取る。すごい。だが、残念ながら僕みたいな凡夫はそうじゃない。普通に意味不明な妄想に眠りを妨げられるだけだ。先週の日曜日夜から木曜日にかけて、僕は病に伏していた。 心当たりはある。Web小説を書く際の自主目標のために睡眠時間を削りすぎた。一週間にわたって5時間も眠らずやり Read more

2023/06/04

脳裏に美少女が居座っている

数ある「ざまあ」系の中でも、ツンデレヒロインに対する「ざまあ」を見た際には相当な激情を覚えた。要するに、物語上でしばしば主要な立場を占める横暴な彼女らに冷や水を浴びせてやろうという趣向だ。率直に言って、なんてひどいことをするんだと思った。 この手の話では優しく健気な女神のごとき真ヒロインがツンデレヒロインに取って代わる。そうして主人公は彼女らに三行半を突きつけ、さしものツンデレキャラも過去の行いを反 Read more

2023/05/20

球になりたい

もし身体性から解き放たれた電脳世界に行けるのなら、僕は球になりたい。 女の子でも動物でも怪獣でもなく球になりたい。色は任意のツートーンカラーで、目も耳鼻も口も手足も備えず、地面から2フィートほど浮いて漂っていたい。各々の計算資源によって毎分毎秒維持され続ける美少女の群れの中で僕はただ一個、意味もなくミニマルを気取っている。 環境光さえ計算に入れていないものだから、どこから観察しても僕を彩るツートーンカ Read more

2023/03/26

カウス・アウストラリスに行きたくて

インターネット・テキストは大宇宙を突き抜ける散乱した光だ。理論上もっとも速く進むエネルギーでありながら質量がない。ぽつぽつと光っては消え、総体としては永遠のようでいて個体では一瞬の輝きにも満たない。太陽の光のように生命を育まず、一等星の光のように道標にもならない。 かつて僕には師がいた。数多の師がいた。僕が一方的にそう決めただけでなんら関係を結んだわけではないけれど、ともかく彼らは作家ではなかった。 Read more

2023/01/03

パソカタ諸氏へ

なぜ僕の周りではゲーム・オブ・スローンズやウエストワールドが一切話題に上らず全員アニメの話をしているのかということを一生考えてきた。情報系オタク(人生の大半をパソコンカタカタで過ごしてきた人間の、総称)は上の世代も下の世代もアニメばかり見ている。話数が多いと尻込みしてしまうのかとも思ったが、まだ1シーズンしかないイカゲームとかもまるで存在しないかのようだ。よく知られたタイトルでもこんな有様だから、 Read more

2022/12/13

敗北加速主義

本稿は一般社団法人異常文章排出機構のアドベントカレンダー2022、13日目の記事です。嘘です。 折りに触れて目にするのは、労働者の苦境を表すミームや創作絵である。それらは上司、企業、社会などから理不尽に加えられる仕打ちを軽妙に語り、時として深い悲嘆に暮れる。読者たちはさめざめと日常の辛苦を分かち合う。リプ欄で、引用RTで、空リプで……だが、彼らはその苦しみから逃れる術はないと諦めているのか、権利闘争 Read more

2022/07/14

竹下通りのダブルバイオーム

原宿の竹下通りには神社がある。竹下通りからどこかに向かって歩いて徒歩十数分、とかではない。まさに街の中心に神社が存在する。 JR原宿駅の竹下口から降りると、すぐ目の前がかの有名な竹下通りである。Kawaiiと雑に総称される文化がそこかしこに輝き、通りの両面にはクレープ屋、キャンディ屋、割と新顔の韓国フードを扱う店などが立ち並ぶ。いつ行っても通りは人間という人間であふれかえり、牛歩のごとき歩みでしか先 Read more

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