2022/07/14

竹下通りのダブルバイオーム

原宿の竹下通りには神社がある。竹下通りからどこかに向かって歩いて徒歩十数分、とかではない。まさに街の中心に神社が存在する。 JR原宿駅の竹下口から降りると、すぐ目の前がかの有名な竹下通りである。Kawaiiと雑に総称される文化がそこかしこに輝き、通りの両面にはクレープ屋、キャンディ屋、割と新顔の韓国フードを扱う店などが立ち並ぶ。いつ行っても通りは人間という人間であふれかえり、牛歩のごとき歩みでしか先 Read more

2022/05/01

横倒しのWi-Fiマーク

Wi-Fiマークを横に倒したような印がそこにあればVisaタッチ決済が使えるとは公式の言であるが、伝統的に現金ニコニコ払いが尊ばれる我が国日ノ本においてそのようなOMOMUKIに欠けた小理屈は通用せぬ。ここ日ノ本にてタッチ決済を行うには真心のこもったネゴシエーションが要求されるのだ。それこそが大日本核心価値観の一つであるJOUCHOの表れであり、僕が遭遇しただけでも複数のパターンが存在する。本エン Read more

2022/04/05

土くれのささやき

料理を作り慣れてくると次第に他の部分にも気が回りだす。僕の場合は料理を載せる器に関心が向いた。動物の食餌と人間の食事に差があるとすれば、ひとえに栄養補給以上の要素をどれだけ見出だせるかにかかっている。ひいてはそうしてかき集められた様々な余剰が文化であり、世界観である。世界観を携えて生きることが僕たちにポリシーや信念をもたらす。 僕の食器に対する最初の接触は、ごく単純な嗜好の反映から始まった。すなわち Read more

2021/08/24

希死念慮スパークリング

例年、夏休み明けは学生の自殺が増えるそうだ。この頃はコロナ禍のせいでただでさえ認知件数が上昇傾向にあるというし、行動を制限された人々が鬱屈した感情を抱え込んでしまうことは想像に難くない。 そんなニュースをトピックに掲げた5ちゃんねるのスレッドを閲覧していると、不意にグロテスクな情報が目に飛び込んできた。昨年の話だが、あるゲーム配信者が生配信中に首吊り自殺を遂げたという。問題の箇所を切り抜き録画したと Read more

2021/06/04

黒マスクと偏見と自由競争

わずか二年ほど前まで「黒マスクはセンスが悪い」扱いだったことを覚えているだろうか。 疑うのなら期間を指定して適当なワードでググってみるといい。着けているマスクが単に黒いというだけで、あたかも着用者の人格まで決めつけられかねない勢いだ。 時が経ち現在。黒マスクだからどうこうと抜かす輩はほとんどいなくなった。それどころか、もっと奇抜な色合いのマスクを着けている者も今や珍しくない。あれほどこぞって黒マスクを Read more

2021/05/27

完全に正しい時ほどへりくだる

いや、これはただの愚痴みたいなもんなんだけどさ。 いわゆる団地というところに引っ越して半年ほど経つ。色々な制約はあったが、駅まで徒歩十分以下かつ激安の家賃ともなれば多少のことには目をつぶらなければなるまい。今なお社会人学生の夢を捨てきれていない僕にとっては、間違いなく好条件の住処なのだから。なんだかんだでドラム式洗濯機も55インチのブラビアも上手くねじ込めたしな。引越し業者の神テクニックには舌を巻か Read more

2021/05/25

「一文が長い」と言われてもな

ロゴーンっていうWebサービスがある。言わずと知れた文体診断サイトで、ここに自分の文章をぶちこむと項目別にスコアリングしてくれる。項目は四つあり「文章の読みやすさ」、「文章の硬さ」、「文章の表現力」、「文章の個性」がそれぞれ評価される。文体が似ている作家をリストアップしてくれる機能もあるが、そっちはよく判らない。 このうち「文章の読みやすさ」以外は問題にならない。僕は「文章の硬さ」を記事の内容に応じ Read more

2021/04/01

鈍角少年

あの頃はずいぶんヒネた少年だったと我ながら思う。 インターネットに跋扈するオタク各位共通の現象かもしれないが、僕も多分にもれず斜に構えたところが大いにあり、傍から見ると相当にアイタタな雰囲気を醸していた。十分に創造的であればその鋭さが幾分さまに見えたりもするが、僕は出来高がしょぼかったので角度は鈍かった。たぶん、150度くらいはあったんじゃないか。壁を穿つ役には立たないくせに、一応尖っているものだか Read more

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