2025/01/30

論評「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」:僕はガンダムもエヴァも嫌いだ

あらかじめ言っておくが僕はガンダムもエヴァも嫌いだ。まず、ミリタリーなんだかオカルトなんだか結局よく分からないところが気に入らない。言うまでもなく、ファーストガンダムの革新性は「白衣を着たひげもじゃの科学者だか秘密結社だかが頑張って作った」みたいな解像度に留まっていた”ロボットアニメ”をミリタリー作品の水準に押し上げたことだった。 つまり、”ロボット”――モビルスーツは作中の軍需企業が製造し、資金は政府が拠出している。事前の計画やデータに基づいて設計が行われ、必要に応じて中断や改良、量産化もありえる。殊に量産化の概念は本作の”ロボット”が操縦者の相棒でも友達でもなく、純然たる兵器、道具に過ぎない事実を効果的に打ち出している。 Read more

2024/09/11

ターミネーターシリーズの思い出を語る

現在、Netflixで「ターミネーター0」が公開されている。なんとあのターミネーターシリーズの最新作がアニメでやっているのだ。こういう企画が通るのも色々な意味で時代の流れだと感じる。アニメファンが世界中に増えたのも理由の一つには違いないが、より大きいのは本作の不可侵性がもはや失われたことだろう。 ターミネーターシリーズは誰もが知る超有名な映画であると同時に、幾度となく公式で解釈の変更が繰り返された作品でもある。たとえばターミネーター3は2の続編だが、実は主人公の年齢すら食い違っている。さらに言うと、4は3の続編、ドラマ版は2の続編、ジェニシスは1のやり直し、ニュー・フェイトは2の続編のやり直しだ。 Read more

2024/06/27

論評「哭悲」:二段構えの地獄

先週の土日はまことにファックネス(ファックの抽象名詞)であった。オフィスで蔓延していた喉風邪の煽りを受けて療養を余儀なくされていたのだ。子どもの頃は居間に布団を敷いてもらって普段は観られない平日のテレビ番組や映画などを楽しんだものだが、なぜか今はそううまくいかない。話がてんで頭に入ってこないのである。 あるいは、もしかすると在りし日の少年陸王は話の内容を捨象して映像の動きだけを追っていたのかもしれない。昔も今もカメラワークにうるさい性格だった。それはともかくとして、日曜日の昼あたりには体調不良なりに映画を観てもよい体制が整っていた。こういう時に観る映画はとことん過激なものでなければならないと僕の中では決まっている。 Read more

2024/06/18

論評「ヒトラーのための虐殺会議」:流血なき血なまぐささ

あらすじ 本作はナチス政権下で行われた「ヴァンゼー会議」をもとにした作品である。ベルリン郊外のヴァンゼー湖畔にちなんで名づけられたこの会議では、親衛隊の将校ならびに事務次官などナチスドイツの中枢を支える高官たちが一堂に会している。 戦争のさなか多忙を極める彼らが今回招集された理由は、かねてよりヒトラー総統が掲げる「ユダヤ人問題」の「最終的解決」を討議するためだった。風光明媚な景観を湛える邸宅の中、ランチタイムを挟んだ90分の議論でユダヤ民族の絶滅計画が作り上げられたのだ。 Read more

2024/01/16

論評「THE CREATOR」:王道と向き合う勇気

はじめに この映画自体が公開されたのは昨年だが、様々な事情の末に僕が本作を視聴したのはDisney+を通じてだった。というのも、本作のあらすじにはどうにもぬぐいがたい不信感が潜んでいたからだ。もったいぶるまでもなく簡単に説明すると、本作は高度に発達した機械(人工知能)と人間が対立を余儀なくされる話である。 うわあ、なんて斬新な世界観なんだろう! 今すぐ映画館に駆け込んで、どんな物語なのか観なくちゃ!……と、思うような人は、たとえSFに明るくなくても今時いないだろう。誰でもすぐにターミネーターやマトリックスを脳裏に描くことができる。もう少し詳しい向きなら、ブレードランナーやアシモフ作品を連想するかもしれない。 Read more

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