先週末、ついに本命ピアスが届いた。丸一ヶ月も待った甲斐があり、ケースから現れたそれは僕の目論見通りの端正な造形美を湛えていた。ピアスは肌身に着ける装飾品の中でも特に最小の部類に位置するにもかかわらず、その凝縮された美しさゆえに極めて強大な文脈を蓄えることができる。ここで重要なのは文脈を創出するのは必ずしも装飾品の作り手ではなく、それを身に着ける者にも可能なところだ。事実、僕が買ったのは「スクエアデザインのチタンピアス」 という文言以外には大した説明がなく、これから書き記す事柄はどれも僕が勝手に作り出した代物に過ぎない。しかし、どんな内容であれ独自の物語を備えた装飾品は、その瞬間から持ち主にとっては他の既製品を超えた輝きを放ちはじめるのである。
前回 の新シリーズ。鞄と靴を一通り刷新せしめたので次はテーラードジャケットとトラウザー、すなわちスーツを手に入れる。こういう話をすると周りからは大抵怪訝な顔をされる。「せっかく背広など纏わずに済む身分なのに、ずいぶん面倒な真似をするぢゃないか」とは友人の弁。だが、僕は三十路過ぎまで生きてきて自分の性癖を十分に理解した。僕は面倒くさいのが好きなのだ。今こうして書いている文章からしてそうだ。わざわざ面倒くさいLinuxディストリビューションを立ち上げ、面倒くさいウインドウマネージャ上で面倒くさいエディタを使って面倒くさい自作キーボードを叩いて面倒くさい言い回しでブログをしたためている。このブログ自体も面倒くさい方法で構築されている。家に帰ったらまずは革鞄と革靴をブラッシングする。月一でクリームも塗る。
最近、興味深い話を聞いた。子育ての難しさだ。ある母親いわく、子どもがなにかをこぼしたりして粗相をすると、自分で掃除をするように言いつけているという。といっても、せいぜい床や机を拭く程度で、躾としてはごく妥当に思える。まもなくその子は後始末の作法を身につけた。ある日、母が料理中にうっかり手を滑らせて床を汚してしまった。ちょうど子どもが近くにいたので「代わりに掃除しておいて」と頼むと、その子は頑として言い張った。「自分のことは自分で――」母親が繰り返し言っていた叱責である。結局、掃除は後で母が行った。
数あるLLMの中でも僕は一番Claudeが好きだ。話していて謙虚で紳士的な雰囲気がするし、他のLLMよりも独特な世界観を持っている感じがする。開発元のWebページ のデザインがセリフ体中心で構成されているところもレトロフューチャーっぽくて気に入っている。Webデザインの実装がうまいところが特に好きだ。「Tailwind CSSでなんかクールにスタイリングしてくれ」みたいなざっくりした指示でも、それなりにちゃんと見栄えのするものを持ってきてくれる。ChatGPTが大抵どのバージョンでも素組みのHTMLと大差ない代物しか寄越してこない様子を見ると、この分野では明らかに突出していると言える。