2024/04/15

マンション自治会の小政治

ことの始まりは昨年の冬、郵便受けに入っていた一枚の檄文からだった。そこには、ある人物がマンション自治会の次期会長に立候補する旨が記されていた。以前から折に触れて書いているように、僕は埼玉のとある団地に住んでいる。建物は古いとはいえ駅まで徒歩10分、大型スーパーまでは5分足らず、近隣には繁華街もあるなど周辺環境が非常に良く、その割に家賃も安い。 代わりに、マンション自治会への参画が半ば義務付けられている。各階の住民は毎年2人ずつ「代議員」と呼ばれる広義の生贄を選び、自治会に供出しなければならない。代議員の仕事は自治会費の徴収や連絡事項の伝達をはじめとしてかなり多岐にわたる。同じ階に新しい住民が入居した際には案内役を務めることもある。 Read more

2024/04/03

コメディ専の彼

かつて僕の友達に「コメディ専」がいた。文字通り、コメディしか書かない。学内のありとあらゆる文芸サークルや合同誌企画に出没しては、矢継ぎ早にコメディ作品を投下していく誠に恐るべき人物であった。というのも、あからさまにシリアス路線の企画ばかり狙い撃ちにしていたからだ。 その内容ときたら寄稿者たちが念頭に置いているであろうテーマや価値観を殊更に当てこすり、混ぜっ返し、笑い飛ばす意欲に長けており、うっかり紙面に目を通そうものならたちまち顔をしかめること請け合いの代物だった。輪をかけて恐ろしいのは、これらの作品がどれもそれなりに面白かったところである。 Read more

2024/03/24

『戦略級魔法少女合同』に寄稿した

C103で戦略級魔法少女合同の広報ペーパーを配ることになりました 今回は自分のサークルスペースは無いので各寄稿者のサークルで配布します 普通のチラシにしても良かったのですがちょっと高級仕様でリソグラフ印刷のポストカードを真空パックにしました 来年5月に出る戦略級魔法少女合同をよろしくね pic.twitter.com/k1FpkjsocX — enden (@enden_nix) December 26, 2023 五ヶ月ほど前に触れていたものの、ようやく作品の提出がすべて済んだので改めて宣伝しておく。当初は短編一作の寄稿を予定していたが、様々な事情により最終的に二作の中編を書き上げた。おおむね当初の想定通りのコンセプトを維持できたと感じている。限られた可処分時間の中で仕事をまっとうした自分を素直に褒めたい。 前述の記事に書いている通り、僕は魔法少女ものの作品をろくに観た経験がない。直撃世代なのに「まどマギ」も観ていないし、いま放送中の作品もまったく観ていない。しかし、このジャンルがやたら流行っているのはひしひしと肌身に感じている。SNS上でも身の回りでも皆さんが魔法少女について語り合っているのをよく見かけるからだ。 厳密には「魔法少女」そのものというよりは、このジャンルに集約された諸要素が多くの人々に感銘を与えているのだろう。物書きとしては、やはり創作によってそれらにアクセスする方法を探っておきたい。そうすれば将来の自作においても諸要素の核心を反映させられるかもしれない。 Read more

2024/03/03

皆さん技術書どう読んでる?

小説や漫画は電子でも技術書は紙、という人はかなり多いんじゃないかと思う。アバウトに書き込めるし、付箋を貼り付けられるし、マーカーも引ける。ぺらぺらとめくって雑に読むこともできる。それくらいタブレットでもできると言われても、システム上の制約があるのとないのとじゃ大違いだ。 しかしその一方で、技術書は重い。デカい。よりによって繰り返し世話になるリファレンス的な本ほどページ数も多い。500ページ超えはざらの世界だ。にも拘らず、ひょっとすると一冊では済まないかもしれない。これではもう「ぺらぺらとめくる」などと悠長なことは言っていられない。どう考えたって検索の方が早い。いわゆる書見台の類も、こんなに分厚い本は想定して作られていない場合がほとんどだ。真ん中あたりばかり開くのなら別だけどな。 Read more

2024/02/03

太巻きへの偏愛

節分である。世間では鬼を戸外に放逐せしめるべく豆をぶつける行事が主と捉えられているが、僕の中ではもののついでとばかりに売り出されている恵方巻きの方がよほど嬉しい。というのも、おおよそ太巻きと定義されうる万物が僕の好物に当てはまるからだ。正直、具の中身は割となんでも構わない。海苔と白米の懐は日本海溝よりも深い。 しかしリアルな伝統に裏打ちされた豆まきとは異なり、恵方巻きの依拠するバックグラウンドストーリーはだいぶ疑わしい。なんでも昔の関西地方にそういう風習があったとかなかったとかそんな具合らしいが、現実、恵方巻きがそこかしこで手に入る昨今の状況は誠に遺憾ながらセブンイレブンの商業的動機によるものに過ぎない。食品ロスも確かに問題だ。僕の胃袋に全部収められたらいいのに。 Read more

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