2022/10/26

ブリッカで上等なエセカプチーノを作る

僕はもっぱらコーヒーをハンドドリップで淹れている。言うまでもなく僕にとって最高の抽出法だからだ。フレンチプレスやらサイフォンやらに色々と手を出しても結局はハンドドリップに帰ってきた。これこそが王道の味に違いない。淹れ方はいくつあっても構わないが、王は一人いればいい。ところがそんな王者でも絶対に叶えられない味わいがある。 そいつはカフェラテだとかカプチーノだとかいう気取ったイタリア野郎の顔をしている。やつらは下地にエスプレッソを使う。エスプレッソは圧力をかけて抽出する特別に濃厚なコーヒーゆえ、ハンドドリップでは逆立ちしても同じ濃さにはならない。普通のコーヒーにミルクを注いでも、それはカフェラテではなくカフェオレと呼ばれる。土台となる苦味が足らないからか、カフェオレはどうあがいても中途半端な味わいに留まってしまう。 Read more

2022/05/12

あらゆるものの口当たりが良すぎるんだ

今はもう過ぎ去りしゴールデンウィークの思い出。さすがに外出がランニングと買い物だけなのはどうかと考えて、ぶらっと散歩をした。道中で見つけた新規開店らしき『メロンパン専門店』にまんまと数枚の硬貨を剥ぎ取られ、帰宅してさっそくホカホカのそれを齧る。積年の記憶から縁遠い柔らかな食感と上品な甘さに僕は思わず顔をしかめた。 メロンパンというのはもっと表皮がゴツゴツとしていて、口腔内の水分をたちどころに収奪せしめる代物ではなかったか? いま食べているこいつはメロンパンとは名ばかりの高級菓子パンだ。生意気にも中にカスタードクリームまで入ってやがる。なんとまあ嫌らしい。それはそれとして味はたいへん美味しかったので2個買ってきたメロンパンはいずれも瞬時に胃袋に収まった。 Read more

2022/04/05

土くれのささやき

料理を作り慣れてくると次第に他の部分にも気が回りだす。僕の場合は料理を載せる器に関心が向いた。動物の食餌と人間の食事に差があるとすれば、ひとえに栄養補給以上の要素をどれだけ見出だせるかにかかっている。ひいてはそうしてかき集められた様々な余剰が文化であり、世界観である。世界観を携えて生きることが僕たちにポリシーや信念をもたらす。 僕の食器に対する最初の接触は、ごく単純な嗜好の反映から始まった。すなわち好きな色をそのまま器に当てはめたのだ。ライトピンクが好きだからライトピンクの器、オレンジが好きだからオレンジの器。そうすると、食卓がにわかに派手になった。様々なアクセントカラーにあふれた食事の風景にしばらくは満足できた。 Read more

2022/03/06

自炊力を底上げする調味料選び

われわれ素人が作る家庭料理は大抵の場合、ごく単純なレシピによって成り立っている。プロのように下ごしらえに何日何時間もかけるのは難しい。われわれの料理も時に趣向を帯びることはあれど、基本的には生活に根ざした営為であり、せいぜい焼いたり煮たりするのが関の山なのだ。 となると、ここで一寸考えてほしい話がある。料理の内訳がぼちぼち限られているならば、加える材料を工夫して成果物の出来を底上げできるのではないか? ――ははあ、なるほど……ブロイラーではなく地鶏を買えとか、オージービーフではなく和牛を買えとか、おおかたそんな痴れ言を抜かすつもりなのだろう……あいにくだがそれがしの懐はそこまで暖かくない。むしろ師走の宵より寒い。せいぜい他を当たることだな――ええい、待たれよ、もう一寸待たれよ、 材料といっても食材の方ではない。調味料の話をしている。 Read more

2021/10/14

効能度外視で甘くておいちい飴三選

時に諸君ら、飴は好きかい? スーパーやコンビニに行くと、実に様々な飴が売られていることが判る。きらびやかな商品パッケージには、これまたえらく着飾ったフォントで宣伝文句がギチギチに詰め込まれている。曰く、レモン○個分のビタミンC!、曰く、メントール配合で眠気スッキリ!、さもなければ、[任意の漢方]で[任意の効能]!……と来たもんだ。ええい、しゃらくさい。ビタミンがなんだ、メントールがなんだ。もっと愚直に飴を舐めたっていいじゃあないか? Read more

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