2024/10/09

革探しの旅Ⅳ:トートバッグ編

前回の外伝的続編。けっきょく観ないといけないやつ。ショルダーバッグの選定が落ち着いたところで次はトートバッグを検討する。まったく難儀な代物だ。紙袋同然のもっとも基本的な形状をしているだけに品数がやたら多く、そのぶんよく研究されている。簡単なものなら自分で作ることもできる。僕も昔に作った覚えがある。どれも同じと見せかけて実は細部が違う。 しかし、単に作りやすいからトートバッグはバッグ界の一角を長らく占め続けてきたわけではない。それだけ圧倒的に便利だからだ。ショルダーバッグが決まりきった携行品を出し入れするのに適した鞄だとしたら、トートバッグはそれ以外に適している。大抵なんでも入るし、なんならなにも入っていなくても許されが発生する。 ショルダーバッグはこうはいかない。峻厳な世界観である。携行品が過不足なく入っていないショルダーバッグは完全に失敗している。クイックスロットになにも登録していないプレイヤーがいたらそいつはヌーブだ。つまり、ショルダーバッグをスカスカにしていたり、逆に出し入れしにくいほど荷物を詰め込む輩がいたら、そいつはショルダーバッグを使いこなせていない。 Read more

2024/09/30

NeovimでGitHub Copilotを試す

LLMの技術的成果が日に日に突きつけられて喉元まで迫っているのを感じる今日この頃、さすがにろくに使いこなせないのでは困るため、ついにGitHub Copilotを試すことにした。LLMを応用した検索エンジン(perplexity.ai)は以前から使っていたが、開発環境と密に統合されるとどんな具合になるのかはやはり気になるところである。 僕の開発環境はNeovimなのでそれに合わせてCopilotを設定していく。GitHub Copilotは最低月額10ドルからのサブスクリプションサービスなのだが、契約完了時に送られてきたクイックガイドにNeovim向けのものがあったのには少々驚かせられた。大抵Vim向けの設定は各々が手弁当で勝手に生やしている印象が強かったからだ。なんならNeovimのプラグインも公式で用意されている。 Read more

2024/09/21

家系へのシフトチェンジ

昔、ラーメン二郎がとても好きだった。徒歩圏内に二郎インスパイアが2つあり、さらに学校から自転車で行きやすい距離には目黒店もある好立地に恵まれていたおかげで、麺もヤサイもニンニクも不足する日はなかった。どうしてトッピングが全部カタカナ表記なんだろうという疑問とは裏腹に、昼も夜も二郎に通い続けた。間違いなく当時、身体を構成する成分のうちの何割かは二郎だったと思う。 大量の油脂と炭水化物とたんぱく質を飲み込むように胃袋に叩き込むと気分が高揚してとてつもない満足感に包まれる。完食にかかる時間は短ければ短いほど望ましい。15分よりも10分、10分よりも5分で食べきれば脳みそから染み出す快感がより一層高まっていく。大学に進学した後も最寄りの二郎系を探したのは言うまでもない。 Read more

2024/09/11

ターミネーターシリーズの思い出を語る

現在、Netflixで「ターミネーター0」が公開されている。なんとあのターミネーターシリーズの最新作がアニメでやっているのだ。こういう企画が通るのも色々な意味で時代の流れだと感じる。アニメファンが世界中に増えたのも理由の一つには違いないが、より大きいのは本作の不可侵性がもはや失われたことだろう。 ターミネーターシリーズは誰もが知る超有名な映画であると同時に、幾度となく公式で解釈の変更が繰り返された作品でもある。たとえばターミネーター3は2の続編だが、実は主人公の年齢すら食い違っている。さらに言うと、4は3の続編、ドラマ版は2の続編、ジェニシスは1のやり直し、ニュー・フェイトは2の続編のやり直しだ。 Read more

2024/09/02

道徳ⅢC

地球人口の大半が失われた未曾有の戦禍の後、揺るぎない道徳心を拠り所とする新たな思想体系が芽生えた。やがてこの思想――道徳主義は極めて重要な学際的使命を担うに至る。ここでは道徳主義を標榜する国々を道徳主義国家、懐疑的な体制を持つ国々を非道徳主義国家と呼称する。 前者の代表的な一員である我が国は道徳教育を特に徹底している国家として知られている。道徳科は義務教育の初年度からさっそく「はじめてのどうとく」の名称で登場し、簡素な物語を交えながら道徳精神の醸成を図る。その後、教育課程の進行に合わせて物語の内容は次第に複雑化していくが、困難な状況下でも確固たる道徳心をもって回答を導きだせるか教員の目を通して随時評価される。 Read more

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