点と接線。

MailuでWeb UI付きのメールサーバを所有する

初夏の頃にはこんなこと を言っていたが、VPSの計算資源が余っているのでやはり自前でメールサーバを建てた。なにしろ幾多の艱難辛苦に晒された10年前と現在では状況がずいぶん違う。今やDockerが普及しており、手の行き届いたOSSが用意されており、培ってきたトラブルシューティングの知識が備わっている。躓いたらコンテナを破棄してやり直せばいい。サーバを建てるたび実行環境の至るところに引っかき傷を残していた過去とはもうおさらばだ。

SearXNGでメタ検索エンジンを所有する

Mastodonインスタンスを建ててからというもの、VPSの持て余した計算資源を活用すべく様々なOSSを探し回っている。中でもとりわけ印象深かったのがメタ検索エンジンのSearXNG だ。今や検索エンジンすらセルフホストすることができる。これを使えばGoogleやBingの検索結果をまとめて睥睨しつつ、プライバシー情報は彼らに一切与えない悪魔的所業が可能となる。たとえば「肩甲骨」で検索すると僕の設定では上記の検索結果が現れる。それぞれの下部に「bing wikipedia duckduckgo brave」などと記されている通り、設定で有効にした検索エンジンが一覧化される仕組みだ。見たところGoogleはWikipediaがあまりお好みではないらしい。実際、本家Googleで当該の単語を検索してみるとWikipediaは2ページ目に進まないと出てこない。

病気の時にする妄想

かのジェームズ・キャメロン監督は殺人ロボットに追われる悪夢を見て「ターミネーター」を思いついたと言う。巨匠は熱にうなされていても元を取る。すごい。だが、残念ながら僕みたいな凡夫はそうじゃない。普通に意味不明な妄想に眠りを妨げられるだけだ。先週の日曜日夜から木曜日にかけて、僕は病に伏していた。心当たりはある。Web小説を書く際の自主目標のために睡眠時間を削りすぎた。一週間にわたって5時間も眠らずやりくりしていたせいか現にほんのり具合が悪かったし、日曜日の朝には初期症状っぽいのも表れていた。目標の期日は達成したが代わりに誤字脱字の報告が複数寄せられたので、やはりベストパフォーマンスでは推敲できていなかったと見える。

Migrate

 私の家の壁には海岸が飾られている。軌道上で衛星カメラが撮り溜めした動画をループ再生しているのだ。構図は決まって上半分が海、下半分が砂浜で、地球のどこの海岸を映し出していてもそれは変わらない。ルームメイトのリィはこの構図しか好まない。ディスプレイというよりは絵画を意識したつもりなのか、投影部分の周りは大げさな中世趣味の額縁で囲まれている。「これこそが大自然のツートーンなんだ」などといかにもなことを彼女は言う。うっかり耳を傾けてしまった、と後悔した時にはもう遅かった。彼女のおしゃべりは尋常ではない。一〇〇年変えていない紫と銀のストライプでできたロングストレートの髪型を揺らしながら、堰を切ったように語りはじめた。「とは言うけど、潮の満ち引きがあるからこうきっちり上半分と下半分には分かれないんだよね。もし単に定点撮影をしているのなら。じゃあなんでこの絵は比率を保っているのかというと、もちろん私が衛星カメラを同調させているからなんだけど、都度変わる軌道角に対して常に最適な設定値を導くのは簡単な仕事じゃないんだ。でもそうすると私の物理的実体は海からずうっと離れた宇宙にあるはずなのに、図らずも未だ地上の現象に誘引されていることになる。しかし、潮汐を引き起こしている張本人は私たちのはるか後ろにいる月なんだな。その月もまた私たちと同じく地球の周りをぐるぐる回っている。こういう関係性からなにが得られるか考えてみたい。というのも――」