2024/06/13
「しかし……」と末尾に付け加える
僕の新しい職場は田町にある。三田、港区と言い換えた方が通りがいいかもしれない。週の半分ほどここに通勤するたび、いかにも毛並みの良さそうな慶應義塾の学生や東京工業大学附属科学技術高等学校(権威はしばしば名前の長さや画数に宿る)らしき生徒たちの群れとすれ違う。
その時、薄暗い身分に生まれ落ちた自分が迫りくる才気の波に削り落とされ、人混みをくぐり抜けた後には骸と化しているのではないかと恐怖に駆られる。洗車機は巨大なブラシで車をピカピカに磨いてくれるが、自分が汚穢そのものだとしたら残るは無垢な白骨ばかりと相成る。
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