2023/05/20

球になりたい

もし身体性から解き放たれた電脳世界に行けるのなら、僕は球になりたい。 女の子でも動物でも怪獣でもなく球になりたい。色は任意のツートーンカラーで、目も耳鼻も口も手足も備えず、地面から2フィートほど浮いて漂っていたい。各々の計算資源によって毎分毎秒維持され続ける美少女の群れの中で僕はただ一個、意味もなくミニマルを気取っている。 環境光さえ計算に入れていないものだから、どこから観察しても僕を彩るツートーンカ Read more

2023/05/14

論評「NOPE」:空飛ぶ円盤に今時マジになる

数ある都市伝説やSFの類型でも「空飛ぶ円盤」ほど古典的なものはそうない。いわゆるUFOってやつだ。歴史を遡れば世界大戦にすら登場しているぐらいだから、きっと古事記にも載っているのだろう。ところで僕はUFOと聞くと、なぜかいつもアメリカの田舎の牧場が思い浮かぶ。夜中になるとUFOがふわふわとやってきて、牧場の牛を吸い上げてしまうんだ。おそらくはこれも人生のどこかで挿入されたステレオタイプに違いない。 Read more

2023/05/05

メールサーバ再考

以前にこういう話があった。かいつまむとVPSの運用を放棄したために他のメールサーバを探さなければいけなくなったのだ。僕はすでに独自ドメインのメールアドレスを12年以上運用しており、今さらGmailなどのフリーメールに鞍替えする余地は残されていない。そこで、前回の時点で最終的に選んだホスティングサービスがmailbox.orgというところだった。 このサービスの嬉しさは価格が圧倒的に安いことだ。わずか Read more

2023/04/15

Blueskyの一ヶ月前史

Blueskyに登録して今日で一ヶ月と十日が経過した。といっても、iOS端末を持たない身分の僕に最初の十日はあってなかったようなものだ。今でこそ公式のWebクライアントがリリースされ、それを凌ぐ利便性を備えた非公式クライアントが群雄割拠しているが、当時はかろうじて投稿が行える程度に留まっていた。 やむをえず交流を諦めて排便記録を投稿していると徐々に各種クライアントの機能が充実してきて、じきにフォロワ Read more

2023/04/07

選挙カーは無気力な僕らの代償

僕が住むマンションの一室は二車線道路に面している。窓を覗くと中学校の校庭が一望できて、歩道は街路樹の占有部分を差し引いてもだいぶ広い。別に立地環境を自慢しているわけではない。これが選挙カーにとっていかにうってつけかを説明している。今は統一地方選挙の真っ最中だ。 住宅地なのに二車線道路が通っているおかげで選挙カーをゆっくり走らせても邪魔になりにくく、歩道が広いため往来者も多い。最寄り駅にもほぼ地続きだ Read more

2023/04/03

僕たちはもう帝国軍じゃないか

旧体制の旗が焼かれたのはいつのことだっただろうか? 僕が中学生に上がる頃(2006年)にはすでに半ば新憲法の理念が行き届いていたので、革命前夜はそれより少し前だ。思えば新世紀を境にADSLが普及しはじめたのは大きかった。高速なインターネット回線が革命を成就させたのだ。 そう考えると僕は革命に加わる苦労なく恩恵を享受した最初の世代とも言えるわけで、実際かなり牧歌的な生活を謳歌できた。噂に聞く革命以前のよ Read more

2023/03/26

カウス・アウストラリスに行きたくて

インターネット・テキストは大宇宙を突き抜ける散乱した光だ。理論上もっとも速く進むエネルギーでありながら質量がない。ぽつぽつと光っては消え、総体としては永遠のようでいて個体では一瞬の輝きにも満たない。太陽の光のように生命を育まず、一等星の光のように道標にもならない。 かつて僕には師がいた。数多の師がいた。僕が一方的にそう決めただけでなんら関係を結んだわけではないけれど、ともかく彼らは作家ではなかった。 Read more

2023/03/18

アンチフェミは結局どうなりたいんだ

名前を出すのも億劫なあの人とかあの人とかが台頭してきた時、ああ、マスキュリズムの一派なんだなと僕は能天気に捉えていた。確かに男というだけで苦役が課されるのは理不尽だし、男性差別のみならず女性差別的ですらある。「男なんだからやれよ」は裏を返せば「女にはどうせできないでしょ」だ。そんな過去を反省してか、いくつかの国では男女ともに徴兵を課すようになった。本当は徴兵制自体をなくしてほしいが情勢的にはそうも Read more

©2011 Rikuoh Tsujitani | Fediverse | Bluesky | Keyoxide | RSS | 小説