季節の変わり目はネクタイ選びが捗る。紳士の正装においてネクタイは装飾が許される数少ない領域であり、ネイビーやグレーで堅牢に構築された基礎に華を添える重要な役割を担っている。秋冬はジャケットの色の深みに合わせてネクタイの色合いも落ち着かせる傾向にあるが、それでも模様や柄の幅広さを考えれば十分な選択肢が用意されていると言える。
さて、そんなネクタイの豊富な種類のうち、特に代表的な模様としてレジメンタル(ストライプ)が挙げられる。二色または複数の色で斜線を引いたデザインを持つあの柄だ。一般的には細い線と太い線を組み合わせて三色ほど使っているものが多い。使う色が多いと主張が強くなりそうなのは誰しも概ね想像がつきそうだが、実は色が少なくても同様の印象を抱かれる場合がある。
来月下旬にコミックアカデミーおよびコミティアで合同誌を頒布する。当サークルGradierwerk では初めての試みとなる定期刊行物の発行だ。毎年最低二回の発行を目標にしている。今回のテーマは『都市SF』に決まった。
よく知られているように、都市SFは順当に書くと概ね「企業・格差・不動産」のいずれかのテーマに回収されていく。つまり非常に物語が被りやすい。ということで今回、僕はあえて悪ふざけに徹してラーメンの話を書いた。すべてが自動化された理想郷的な都市でラーメンを食べる子を描いたほんわかストーリーである。ぜひ楽しみにしていただきたい。
長らく関東に住んでいても、暖かい服を手元に置いておくと安心するのは北国生まれの習性かもしれない。我が故郷の岩手県盛岡市ではぼちぼち最低気温が10度を下回る。来月の今頃は氷点下近辺まで下がっているだろう。残暑で弛んだ空気が突然手のひらを返したように鋭く尖り、街行く人々をいきおい突き刺しはじめる。そんな辛く厳しい寒風から身を守りし聖衣が、他ならぬニットである。
これはただのニットではない。都会の人間がスタイリッシュに着る薄手のものとは異なる、極太の毛でもったりと編まれたローゲージニットだ。目ざとい人ならニットにゲージ数という単位が設けられていて、20Gとか12Gとか、7Gといった数字が振られているのを知っている。高ければ高いほど目が細かく薄い。10G以上は概ねハイゲージで、それ以下がミドルゲージとされる。ローゲージと呼べるのは4G以下だ。しかし関東の気候で7G以下のニットが必要とされる局面はほとんどない。
創作においてはなにを描くかということと同じくらいなにを描かないのかも重要だ。節操なく要素を詰め込んでいくと太い幹として通したい真のテーマ性が損なわれ、あちこちに散らばって生えた枝葉に栄養を奪われ尽くし、いかにも貧相な見てくれの木々が出来上がる。
これは少し角度を変えると商業的な動機でも成り立つ。ある要素を取り入れるとそれに親和的な客層に好印象を持ってもらえるが、同時に他の客層には反感を抱かれる。ならばと広く客層を取り込もうといたずらに要素を散りばめると、かえって誰にとってもやや不快な、いわゆる「ノイズ」まみれの作品に堕してしまう。要素は増やすよりは減らす方が容易い。