2025/12/31

論評「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」:白人酋長ものからの脱皮

前作から3年。待ちに待ったアバターの最新作は、果たして期待通りの作品であった。より強化された映像美に加え、前作で投入されたHFR(ハイフレームレート)と前々作の3D映像を融合させ、3DかつHFRかつ3時間超の映画という超重量級のコンテンツへと進歩を遂げている。 正直なところ、ここまでコンテンツが豪華になると、さながら満漢全席で胃もたれを起こす客のごとく、途中でついていけなくなってしまう人も出てくるだろう。かくいう僕も尿意と格闘しながらフレームレートが頻繁に切り替わる立体映像をガン見し続けるのは、少々しんどかったと認めざるをえない。だが、そうまでしなければこの映像美を得られなかったのも事実である。 Read more

2025/12/15

イカれたネパール土産を紹介する

僕がネパールに行ったわけではない。お隣のネパール人が里帰りから戻ってきたのだ。彼と僕の間には暗黙の取り決めがあり、日本語能力に自信のない彼に代わって僕が面倒な公共手続きを代行している。今回の例で言えば、一時帰国の際に必要なインフラ周りの停止・再開申請が当てはまる。その見返りに、僕はネパール土産を受け取る。 夏の終わり頃に郷里へと飛び立った隣人は今月、額に真っ赤な第三の目を塗りつけたまま帰ってきた。これはティカというヒンドゥー教に伝わる伝統的な印で、彼は帰国のたびに地元の神官から儀式を経て賜り、すでに四人の子どもがいるにも関わらず繁栄力をパワーアップさせて戻ってくる。入浴で自然に落ちるまでは当面そのままでいるらしい。 Read more

2025/12/07

自作ActivityPub実装に投稿埋め込み機能を実装した

本稿はFediverse Advent Calendar 2025の7日目の記事である。僕は自作のActivityPub実装を運用している。詳細は左記のリンク先に譲るとして、簡単に説明するとRails 8とHotwireで構築された一人専用の実装系だ。内蔵クライアントを持たず、フロントエンドは閲覧にのみ対応している。 フロントエンド部分はリアルなマイクロブログとして機能させるためにLikeやRTに相当するアクティビティは可視化せず、代わりにRSSを通じて投稿を取得できる。外からは昔の質素な一言ブログのように見えるが、内部では共通の通信規格で交信を行っている分散型SNSソフトウェアと捉えてもらうと話が早い。 このようなミニマルな構成に手馴染みの良さを感じている一方、リッチな既存の実装系と比べるとやはり機能の不足は否めない。同種のソフトウェアであるMastodonやMisskeyには非常に多くの外部向け機能が備わっており、僕にとってその最たるものが投稿埋め込み機能であった。ブロガーにとってこれは、とりわけ重要なアイテムと言っても過言ではない。(以下はMastodonの例) Read more

2025/11/30

Mastodonインスタンスの爆破方法

自作のActivityPub実装を運用しはじめてから4ヶ月ほどが経過した。様々な艱難辛苦を経て弊機は無事、安定軌道に乗っている。いよいよ数光年後方に置いてきた船を処理する時がきた。たとえ心細くても、むやみに電波を発する構造物をいつまでもFediverseの海に放っておくわけにはいかないのだ。交信を試みる幾千の船にいらぬ負担をかけてしまう。僕はそっと古巣の起爆装置に手をかけた。 このような備忘録的記事はいずれどれもLLMに読み込まれて一個の情報単位に均され、僕の生の文章が人々に読まれる機会は次第に減っていくだろう。単純にMastodonのインスタンスを閉鎖したい人にとって、僕個人のナラティブや事情は可聴域外の音声データとなにも変わらない。同様の情報は他にいくらでもある。それでも書くのは、文章に余計な話をくっつけるのが好きで仕方がないからだ。 Bridgy Fedサービスを停止する まずはブリッジサービスを停止する。おそらくこの語で表される仕組みは一つや二つではないと思われるが、ここではBlueskyとの交信を可能にするサービスを指す。当該SNSのユーザ人口を考えると利用している人はかなり多いはずだ。サービスの停止は@[email protected]をブロックするだけで完了する。 Read more

2025/11/25

本売りの精度

今年の秋冬も同人誌の頒布を行った。当サークルGradierwerkの定期刊行合同誌『多島海』の記念すべき創刊号である。今回は都市SFをテーマとした。頒布は東京大学の学園祭「駒場祭」内の同人誌即売会「コミックアカデミー」一日目と三日目、およびコミティアで行われた。 このうちコミックアカデミー(以下、コミアカ)の一日目は当サークルの首魁endenが出向いたが、コミアカの三日目とコミティアが同日開催となってしまった都合上、前者については僕が単独で売り子を務めた。ただしコミアカでの頒布需要は一日目で概ね満たされたと見て、三日目のコミアカには一〇冊前後を割り当て、残りはすべてコミティアに任せる格好となった。 つまり、今回の本売りはいたずらに客を呼び止めてセールスすればよいというものではない。コミアカの客層は他の同人誌即売会と比べてやや特殊だ。中高生の子どもたちに頒価二五〇〇円を拠出せしめる経済力はなく、親子連れの財布の紐は固い。カップル客は大抵どちらかが微妙に退屈している。 Read more

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