2025/04/03

いずれすべてが代行される

入社当日、または数日目にして早くも退職を果たした新卒社員が続々現れていると言う。巷ではこれを若者特有のタイパ思考などと世代論にまとめて扱う傾向が強いが、新卒者の早期退職率は昔から今まで概ね横ばい(約3割)で目立った変化はなく、少なくとも統計上からは各世代の内的な性質に因る特徴は見られない。 あえて想像するなら、かえって雇用形態が曖昧だった昔の方が「あいつはトンだ」「フケた」と濁して突然消える向きがありそうに思える。もっとも手軽なはずのスキマバイトの類にもスマートフォンが必須とされ契約に個人情報が求められる今時と異なり、当時は港町やドヤ街に赴けば住所不定無職の風来坊でも難なく仕事にありつけたと聞く。だとしたら、昔には昔なりの早期退職の姿があってもおかしくはない。 Read more

2025/03/05

二つのルールの狭間で

最近、興味深い話を聞いた。子育ての難しさだ。ある母親いわく、子どもがなにかをこぼしたりして粗相をすると、自分で掃除をするように言いつけているという。といっても、せいぜい床や机を拭く程度で、躾としてはごく妥当に思える。まもなくその子は後始末の作法を身につけた。 ある日、母が料理中にうっかり手を滑らせて床を汚してしまった。ちょうど子どもが近くにいたので「代わりに掃除しておいて」と頼むと、その子は頑として言い張った。「自分のことは自分で――」母親が繰り返し言っていた叱責である。結局、掃除は後で母が行った。 Read more

2025/02/17

実装を義務とする

先週末、これを作っていた。mttという名前のnpmパッケージで、個人的にまとまっていると嬉しいファイル操作をコマンド化したものだ。実装はTypeScriptで行っている。 指定する引数によって機能が変わり、mtt -rで$EDITORを呼び出して行う一括リネーム機能、mtt -cでファイルおよびディレクトリを個別に圧縮する機能、mtt -iで画像ファイルを縮小する機能を備えている。npm instal -g @riq0h/mttでインストールできる。 特にエディタを用いる一括リネーム機能は以前から様々なツール(たとえばmmvは有名だ)で世話になっていたこともあり、この機会に自分の手で実装して処理を把握しておきたいモチベが強かった。今回の開発を通して最低限の勘所を掴めたと感じている。 あまり頻繁にリネームをしない人はピンと来ないかもしれないが、GUIベースで数十ものファイルの命名規則を合わせたり一貫性を持たせるのは意外に大変だ。その都度、前提条件に沿ったルールを作成したりいちいちスクリプトを書くのも面倒くさい。しかしエディタを――とりわけVimを――自由に扱えるなら話は別だ。どんなファイル群でもたちまちケリがつく。 Read more

2024/12/17

mixi2(ツー)とか言っている場合ではない

インターネットのオタクたちがツイッター2(ツー)とか言って遊んでいる間に、マジで冗談みたいな名前のSNSが誕生していた。その名もmixi2である。昨日の昼頃、僕のTLに突如として招待リンク付きの投稿が舞い込んだ。最初はジョークサイトかなにかだと疑っていたが現に実用可能なアプリケーションが存在している事実から、紛れもなくあのmixiの後継サービスが生まれたのだと理解した。 2006年、フレッシュな中学1年生だった僕はある時、個人サイトのような独立した形態ではなく、かといって匿名掲示板のように誰でも書き込めるわけでもない特殊なWebサービスがあることを知った。いわゆる招待制サイトに属しているが、しかし何百万もの人々がすでに利用していると言う。それはもう2年前から始まっていて、自分はいつの間にか出遅れていたのだ。 Read more

2024/11/12

身体感覚を取り戻すために

実はこないだから日記をしたためていた。このブログとは別の、紙にペンで書く方だ。毎日、手近なメモ帳に300文字ほど書きなぐっている。なにかを始めようとする時、やたらと形を整えるのはあまり良い筋ではない。モチベーションを行為ではなく形式に委ねてしまうと、その枠から外れた途端に継続力を失うからだ。 一ヶ月ちょっと経ち、もともと使い古していたメモ帳を使いきった。改めて読み返すと、日を追うごとに文面がやや長く技巧を帯びているのが分かる。なにしろ手書きはundoが効かないので、当初は書き損じを倦んで平易に表現せざるをえなかったのだ。だが、何週間も文字通り手を動かしていたおかげで指先と脳の間の経路が潤滑されたらしい。だいぶましになってきている。 Read more

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