2023/03/26
カウス・アウストラリスに行きたくて
インターネット・テキストは大宇宙を突き抜ける散乱した光だ。理論上もっとも速く進むエネルギーでありながら質量がない。ぽつぽつと光っては消え、総体としては永遠のようでいて個体では一瞬の輝きにも満たない。太陽の光のように生命を育まず、一等星の光のように道標にもならない。
かつて僕には師がいた。数多の師がいた。僕が一方的にそう決めただけでなんら関係を結んだわけではないけれど、ともかく彼らは作家ではなかった。彼らは地球の重力圏では到底捉えきれない速度でカウス・アウストラリスに向かって孤独の旅路を歩んでいたから、銭を生むなどという世俗に沿う行為は不可能だったのだ。
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