2018/06/06

二度目の機会ならある

なにかと悪い方向に物事を考えるくせがある。いかにも企業の危機管理部が提起しそうな「最悪の想定」を大幅に越えて、ほとんどサスペンスかホラーの域に到達するまで妄想をやめられない。そのせいか現実の話ならともかく、とんとん拍子にうまく展開が進む手合いのフィクションはどうにも苦手だ。 これは必ずしもリアリティの話ではない。創作だからこそどんなに極端に後味が悪くても楽しむ事ができるのに、わざわざ底抜けにお気楽な内容にしてしまう意義があるだろうか。せっかく刺激的な人物や設定を作ってもそれでは自ら魅力を殺いでしまっているようなものだ。 Read more

2018/06/04

洛陽を思えば

京都で上京と書くとそれは「かみぎょう」と読まれる。間違っても首都に行く意味とは見なされない。彼らにとって東京は上るものではない。むしろ東下り(あずまくだり)という言い回しさえある。千年の都を自称する気高さは伊達ではない。 そんな京都人も府外の相手ならともかく同郷で優位を保つのは難しい。下の地図の範囲内にある地域は「洛中」と呼ばれて一定の評価を得るが、ここから外れた人たちは「洛外」として実質的に外様の扱いを受けるからだ。 Read more

2018/05/31

刃物に宿る男根

昔、強姦を犯した性犯罪者に去勢を施す国があった。性器がなければ再犯率が下がると考えたのだろう。事実、性犯罪率は下がったかのように見えた。ところが人間の狂気は一物を削ぎ落としたくらいで容易に萎むものではない。 ある男は数多の強姦を繰り返してきたが、去勢を契機にまったく別の性癖が開花した。刃物である。挿入を通じて得られぬ快感を刃物によって代替しようとしたのだ。彼にはもはや男根は必要ない。刃物が彼の永遠の男根となった。 Read more

2018/05/28

涙は流れないし警官もいない

ここ数日「小説家になろう」や「カクヨム」でランキング順にWeb小説を読んでいる。物書きの端くれとしてこの手のジャンルに思うところはもちろんたくさんあるが、結構な数が書籍化されているのも事実だ。学べるところもあるかもしれない。 ランキングのリストを眺めていくと非常に似通った設定の作品が多い事に気づく。いわゆる異世界ファンタジーだ。おおむね時代背景は中世からルネサンス時代で、ドラゴンクエストやその他のファンタジーRPGに類似した世界観を有している。 Read more

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