2022/12/22

論評「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」:映像革命再び

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」を観た。いつも映画の感想は1ツイート程度で抑えていたが、本作についてはもう少しなにか書けそうな気配があったのでブログ記事に起こすことにした。以降、分野ごとにいくつかの見出しに分けてそれぞれ論じていく。なお、本エントリはネタバレありとなる。各自注意されたし。 CG/VFX まず着目すべき点は映像の美しさである。先日、前作「アバター」を復習した際も13年の年月を疑う映像美に唸らされたが、本作にとって過去の自分を乗り越えることはあまりにも容易だったらしい。IMAXレーザーで強化された視覚音響効果も相まって、まさしくエンターテイメント作品の新しい頂点を築き上げたように思う。 Read more

2022/11/18

オープニングに神が宿る

それに度肝を抜かれたのは2010年、僕が高校2年生の頃だった。今やあらゆる作品にクレジットされているJ・J・エイブラムスが製作総指揮を務めたドラマ「FRINGE」のオープニングだ。その瞬間まで僕はオープニングというものに気を払った試しがなかった。そもそも作品によっては無かったり、タイトルコールのみで終わることもある。ああ、監督の名前とかが出るあれね、みたいな接し方をしていた。 ところがこのオープニングは違った。「FRINGE」は超科学犯罪を取り締まる特殊捜査チームの話なのだが、わずか20秒とちょっとの映像に作品の魅力がたっぷり詰め込まれている。サイコキネシス、テレポーテーション、ダークマター……情報量が多いだけじゃない。洒落っ気さえある。どうかこれが10年以上前のドラマだということを思い出していただきたい。今でも全然普通に通用すると思う。 Read more

2021/12/20

感想「マトリックス・レザレクションズ」:ほとんどメタい

歴史的興行成績を獲得しながらも視聴者の大半がストーリーを理解していないことで知られる「マトリックス」シリーズの新作が、ついに公開された。ほとんどの視聴者にとって「マトリックス」とはクールな黒装束に身を包んだキャラクターがカンフーアクションを繰り広げるエンタメ作品だ。 事実、そのような表面的な見方でも十分に楽しいからこそ本シリーズは圧倒的な知名度を得たのだし、われわれ小うるさいオタクも先駆的なSF映画を楽しむ機会に恵まれた。初動で失敗してセルビデオで盛り返した「ブレードランナー」などの例外はあれど、もし当初の企画通り、かの有名なSF小説「ニューロマンサー」の忠実な映像化に徹していたら後世の作品に今ほどの影響は及ぼせなかっただろう。 Read more

2021/07/31

コンピュータ好きの人類が観るとより楽しめる洋ドラ三選

タイトルについて 当初、本エントリのタイトルは 「プログラマが観るとより楽しめる洋ドラ三選」 になるはずだった。しかしすぐに 「いやプログラマに限定するのはおかしいな。インフラエンジニアだって当然楽しめる」 と思い直し、タイトルを「エンジニアが観ると…」に修正した。が、ここでまた手が止まった。「なにも職業エンジニアに限った話ではないな」 実際にそうなのだ。紹介する作品群はどれもコンピュータをある程度かじっている人なら十分楽しめるように作られている。こうして対象範囲をどんどん拡張していった結果、現在の珍妙なタイトルが生まれた。さすがにこれ以上広げるつもりはない。 Read more

©2011 辻谷陸王 | Fediverse | Keyoxide | RSS | 小説