2023/04/07

選挙カーは無気力な僕らの代償

僕が住むマンションの一室は二車線道路に面している。窓を覗くと中学校の校庭が一望できて、歩道は街路樹の占有部分を差し引いてもだいぶ広い。別に立地環境を自慢しているわけではない。これが選挙カーにとっていかにうってつけかを説明している。今は統一地方選挙の真っ最中だ。 住宅地なのに二車線道路が通っているおかげで選挙カーをゆっくり走らせても邪魔になりにくく、歩道が広いため往来者も多い。最寄り駅にもほぼ地続きだ。拡声器でもってアンプリファイアされた大音声はマンションの各部屋に届くのみならず、未来の有権者が集う学校にまでも行き渡る。こんな理想的な場所で選挙カーを走らせない手はない。そんなわけで在宅勤務者の僕は、ここのところ日がな一日彼ら彼女らの声を聞かされている。 Read more

2023/03/18

アンチフェミは結局どうなりたいんだ

名前を出すのも億劫なあの人とかあの人とかが台頭してきた時、ああ、マスキュリズムの一派なんだなと僕は能天気に捉えていた。確かに男というだけで苦役が課されるのは理不尽だし、男性差別のみならず女性差別的ですらある。「男なんだからやれよ」は裏を返せば「女にはどうせできないでしょ」だ。そんな過去を反省してか、いくつかの国では男女ともに徴兵を課すようになった。本当は徴兵制自体をなくしてほしいが情勢的にはそうもいかないのだろう。 さらに踏み込んだ話をすると、男女の均等雇用が訴えられるのはもっぱらデスクワークに限られていて、土木業や建設業、運送業などの過酷な現場仕事で同様の主張が為される例はめったにない。男女平等とはこれいかに。このように、マスキュリズムの言い分には一定頷ける余地がある。もちろんそこには過労を前提とした搾取が横行しており、頑健な肉体を持つ一部の男性でなければ適応できない現状が否めないにせよ、華やかで高給な仕事ばかり望んでいるとの誹りは免れられない。 Read more

2022/12/13

敗北加速主義

本稿は一般社団法人異常文章排出機構のアドベントカレンダー2022、13日目の記事です。嘘です。 折りに触れて目にするのは、労働者の苦境を表すミームや創作絵である。それらは上司、企業、社会などから理不尽に加えられる仕打ちを軽妙に語り、時として深い悲嘆に暮れる。読者たちはさめざめと日常の辛苦を分かち合う。リプ欄で、引用RTで、空リプで……だが、彼らはその苦しみから逃れる術はないと諦めているのか、権利闘争や転職の話はあまり俎上にのぼらない。 Read more

2022/06/24

2022年参議院選挙 既成政党以外まとめ

本エントリは2022年の参議院選挙に立候補する既成政党以外について記す。既成政党とは国政に議席を有しているか、もしくは直近に有していたことがある政党を指す。そういう権力を持った強い存在は勝手に誰もが注目するだろうから、ここは一つあえて珍獣のうなり声でも聞いてやろうといった趣向である。 参政党 ■思想傾向:右派 ■特徴要約:反ワクチン、自然主義 今回の選挙で本当に議席を獲ってしまいそうな勢いを持つ政党。5万超もの党員数を誇り、全国的に候補者を擁立している。 「ゴレンジャー」 と呼ばれる5人の著名人(武田邦彦氏など)を事実上の指導者とし、独特の言い回しを用いた演説を得意とする。各地の街頭演説で多数の聴衆に囲われている様子を見るに、実際にこの手法は効果を発揮しているようだ。 Read more

2022/05/25

人を増やすことのろくでもなさ

少子化はなにも日本に限った話ではない。中国や韓国もそうだし、アメリカやEUもそうだ。およそ先進国とは呼べない経済規模の国でさえ、出生率は減少傾向にある。極めつけは上記の画像だ。13億人超もの国民を誇り、間もなく中国の人口をも抜くと言われているあのインドが、とうとう人口置換水準を下回ったのである。 人口置換水準とは文字通り、その地域において人口を維持できる合計特殊出生率の値を表している。大抵は2.0とちょっとをキープできていれば均衡的と見なされるが、件のインドの数値はジャスト2.0。つまり今後これが回復しなければ、インドはいつの日か少子化に突入してしまうのだ。かの巨大国家でも人口減少には抗えない。この絶望的な事実をどう捉えるべきかちょっと考えてみたい。 Read more

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