2024/01/21

デスク環境改善Ⅱ

ついに想像の中のキーボードを具現化する時が訪れた。金は大層かかったが満足している。僕にとってキーボードとはもっとも本質的かつ重要なインターフェイスであり、人生でもっとも打ち込んだものの一つに他ならないからだ。そんなふうに自分に言い聞かせれば翌月、改めてクレジットカード明細を目にした際の震えも多少はやわらいでくれるに違いない。 Bakeneko65 Keychron Q2 Proの体験に気を良くした僕は次の段階に進んだ。キーボード基板部分をさらに細かく検討して、ケース、構造、PCB、プレートも吟味する。前回の記事で予告した通り、二台目にはBakeneko65を選んだ。シンプルなO-ringマウントのアルミニウム筐体に、ホットスワップ対応のPCB、プレートはポリカーボネードより固く、ステンレスよりは柔らかい複合素材のFR-4。オープンソースハードウェアでもある。 Read more

2023/12/03

NeovimをさらにLuaLuaさせた

あれから一年近い月日が経った。ひとたび完結を見た僕のinit.luaはその後も進化し続け、ずいぶんIDE的な出で立ちに変貌を遂げた。当初のサブ武器としての位置付けはどこへやら、今ではすっかり長剣の顔をして鞘に収まっている。電脳空間を切り開くデジタルロードアウトはえてして可変長であり、所有者の意向次第で自在に特性を変えられるのだ。本稿では新たに増えたプラグイン群を紹介する。 jaq-nvim いわゆるタスクランナー。書いたコードを即時に実行してくれる。国内では応用の幅広さからvim-quickrunがとりわけ有名だが、元がVim用のプラグインなのでNeovim特有のUIに対応していない惜しさがあった。jaq-nvimは逆にNeovimでしか動かない代わりにfloat windowで表示できる。 設定では実行したい言語のコマンドを指定するほか、ウインドウの枠や位置を自分の好みに決められる。どうせターミナル上にいるのだからタブを開くなり、tmuxのpaneで別途実行するなりすればいいという意見もあるが(僕も昔はそう思っていた)、多少なりともワンクッションの手間を減らせる効能は意外にあなどれない。以下に設定例を示す。 Read more

2023/11/26

fzfと仲良く

言わずと知れたあいまい検索ツールfzf。日々、Vimを通してよろしくやってきた。しかし、元を正せばそもそもfzfはターミナル上で使う代物ではなかったか? そこへいくと僕の.zshrcに記されしかの設定群はいかにも心もとない。たぶん最初の出会い方が悪かったのだろう。今から言う昔話はちょっと気が早い人たちには心当たりがあるかもしれない。 初めてfzfをインストールした状態で、おもむろにfzfと打つ。すると、なにやら景気よくパァーッとファイルの一覧が表示される。ウオーッ、なんだかすごそうだ、選択したら一体どうなるんだ、などと期待に胸を膨らませつつ任意のファイルを選ぶと……普通に相対パスが標準出力される。 Read more

2023/11/12

あるはずのバックアップが全部消えていた

自分だけは、と思っていても起きる時は起きる。いつまでもあると思うな親と金とバックアップ。Cloudflare R2にcronで毎日アップロードしていたMastodonインスタンスのデータベースが、いつの間にか全部消えていた。AP実装においてデータベースはすべてである。これをなくしたらもはや取り返しはつかない。 だからこそインスタンスの運営者はデータベースの保全に気を配る。わざわざオブジェクトストレージにアップロードしているのもサーバ本体の破損にデータベースが巻き込まれるのを防ぐためで、ローカルよりもクラウド上の方が安全との判断からだ。にも拘らず、ちょっとした行き違いが重なると瞬時に死の刃が首元まで迫ってくる。かつて僕が書いた自動化スクリプトの例を以下に記す。 Read more

2023/11/05

とりあえずnone-ls.nvimでよくないか? / null-ls.nvimの保守的代替

夏真っ盛りのある日、Neovimの超有名プラグインが爆発四散した。null-ls.nvimはLSPの規格に合わないLinterやFormatterを言語サーバのように動作させられる画期的なクライアントだった。ほぼコピペの設定で完結する簡便さは同プラグインを事実上のデファクトスタンダードの座に押し上げた。 しかし、そんな圧倒的権勢を誇るプラグインは驚くべきことにたった一人の開発者によって維持されていた。極度の多忙さゆえ彼がギブアップを宣言した瞬間、null-ls.nvimのリポジトリはたちまちアーカイブせしめられ、我々は否が応にでも事態を悟らざるをえなくなった。貢献に相応しい報酬を受け取れないのは誠に遺憾ながらOSS開発の宿痾である。 さて、こうして一つの偉大な仕事が終焉を迎えた。Neovim本体のアップデートや環境の変化次第でnull-ls.nvimは早晩動かなくなるだろう。ユーザたちは移行作業に取り掛かりはじめた。僕の周りでは競合プラグインのefm-langserverに乗り換える者が多い。あるいは、まったく別の新しいプラグインを試す者もいた。 Read more

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