2023/09/03

Forgejo+WoodpeckerでCI/CD環境を所有する

逆になにができないのか判らないほど多機能と化したGitHubだが、その機能性が仇となって限られた用途で使用するにはいささか煩雑な画面操作が増えたように思う。ghコマンドは確かに有用ではあるものの圧の強いUIと格闘するかCLIかの二択は少々極端なきらいが否めない。 そこで、自前の計算資源を持っている人間にはリモートリポジトリのセルフホスティングが検討される。世の中には絶対にissueやPRを受け付ける気がない雑多なコード片や、ごく個人的、ないしは見知った少人数のみのプロジェクトが存在する。そういった趣旨のリポジトリを管理するには、いっそGitHubよりもミニマルに設計されたサービスの方が快適に用を足せる見込みがある。 Read more

2023/08/26

MailuでWeb UI付きのメールサーバを所有する

初夏の頃にはこんなことを言っていたが、VPSの計算資源が余っているのでやはり自前でメールサーバを建てた。なにしろ幾多の艱難辛苦に晒された10年前と現在では状況がずいぶん違う。今やDockerが普及しており、手の行き届いたOSSが用意されており、培ってきたトラブルシューティングの知識が備わっている。躓いたらコンテナを破棄してやり直せばいい。サーバを建てるたび実行環境の至るところに引っかき傷を残していた過去とはもうおさらばだ。 MailuというOSSがある。メールサーバの構成要素が統合されていて全部よしなにやってくれる上にWeb UIまで付いてくるすごいやつだ。こんなのがあるんだったらVPSを契約している身でわざわざ他所に金を払っている場合ではない。こうして、僕は意気揚々と構築作業に乗り出したのだった。とはいえ相変わらずメールサーバは手強い。本稿ではDockerを利用したMailuの構築方法について記す。 ファイルの取得と編集 dockerおよびdocker-composeはすでに導入されているものとする。専用のユーザでホーム直下にディレクトリを作成した後は通常、docker-compose.ymlの雛形をコピペする形が典型的だが、MailuはWeb上のセットアップユーティリティでユーザの意図に適った設定ファイルを出力してくれる。これらのファイルはdocker-compose.ymlと.envファイルなのでいつでも編集できる。 Read more

2023/08/20

SearXNGでメタ検索エンジンを所有する

Mastodonインスタンスを建ててからというもの、VPSの持て余した計算資源を活用すべく様々なOSSを探し回っている。中でもとりわけ印象深かったのがメタ検索エンジンのSearXNGだ。今や検索エンジンすらセルフホストすることができる。これを使えばGoogleやBingの検索結果をまとめて睥睨しつつ、プライバシー情報は彼らに一切与えない悪魔的所業が可能となる。 たとえば「肩甲骨」で検索すると僕の設定では上記の検索結果が現れる。それぞれの下部に「bing wikipedia duckduckgo brave」などと記されている通り、設定で有効にした検索エンジンが一覧化される仕組みだ。見たところGoogleはWikipediaがあまりお好みではないらしい。実際、本家Googleで当該の単語を検索してみるとWikipediaは2ページ目に進まないと出てこない。 Read more

2023/07/22

かゆいところに手が届くインスタンス運用の初級テクニック集

ソロインスタンスを建ててそろそろ2週間が経とうとしている。おかげさまで絶好調だ。本稿では僕がMastodonインスタンスの運用を改善していく上で、手頃ながら日本語情報が乏しかった情報について取り上げる。 SSLの対応をCloudflareに丸投げする 前提 ・運用中のドメインをCloudflareで管理しているか、またはネームサーバを向けている。 ・CloudflareのSSL/TLS設定で暗号化モードを フル(厳密) に設定している。 各種の文献ではインスタンスを建てる過程でLet’s Encryptを紹介しているものが多い。確かにこの証明書は様々な用途において気安い選択肢だが、反面、3ヶ月に1回の更新作業が地味に面倒だったり、cronで自動化してもなぜかcertbotがコケていたりと微妙な使い勝手の悪さは否めない。 Read more

2023/07/15

30歳の節目に電子の家を建てた

かつての時代では30歳で家を建てることが国民共通の目標だったらしい。1993年、バブル経済の崩壊とともに日本は凋落の道を転がりだし、国政では55年体制が終わり細川内閣が発足、IT分野ではWindows3.1日本語版が発売された激動の年。僕は岩手県とかいう人間より牛の数が多いスカスカの大地にオギャーと誕生した。多分に漏れず、家は新築だった。 時に、西暦2023年7月11日。僕は30歳の誕生日を迎えて名実ともに中年男性と相成った。世相はずいぶん様変わりしたが僕もやはり家を建てた。ただし、肉体の収容を差し置いてインターネット上におけるアイデンティティやコンテンツコントロールの確立を重視した背景から、僕が建てた家は鉄骨でも木でもなく電子情報でできている。 Read more

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