2022/04/05
土くれのささやき
料理を作り慣れてくると次第に他の部分にも気が回りだす。僕の場合は料理を載せる器に関心が向いた。動物の食餌と人間の食事に差があるとすれば、ひとえに栄養補給以上の要素をどれだけ見出だせるかにかかっている。ひいてはそうしてかき集められた様々な余剰が文化であり、世界観である。世界観を携えて生きることが僕たちにポリシーや信念をもたらす。
僕の食器に対する最初の接触は、ごく単純な嗜好の反映から始まった。すなわち好きな色をそのまま器に当てはめたのだ。ライトピンクが好きだからライトピンクの器、オレンジが好きだからオレンジの器。そうすると、食卓がにわかに派手になった。様々なアクセントカラーにあふれた食事の風景にしばらくは満足できた。
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